2015年6月29日(月)
研究者ら歴史教科書シンポ
育鵬社版 戦争の本質見えず
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中学校教科書の採択へ向け、歴史教科書の問題点を学ぼうと、歴史学研究会(歴研)、歴史教育者協議会(歴教協)、歴史科学協議会(歴科協)などが主催して28日、東京都内でシンポジウム「歴史教科書 いままでとこれから」が開かれました。研究者や教育関係者、市民ら120人が参加しました。
歴研の現場教員や研究者が「世界史的視野で前近代史叙述を検討する」などと題して報告し、「中学校段階でどのような世界認識・歴史認識が培われるかは大きな問題」と話しました。
歴教協の中学校教員による、育鵬社版歴史教科書を使った「日露戦争」を主題にした単元の“模擬授業”が行われました。
“授業”後、「自衛のための戦争」を強調し、中国・朝鮮を支配しようとした戦争の本質が見えなくなる問題点を、具体的に示しました。軍人たちの勝利に導いた“功績”を記述するばかりで、戦争反対を唱えた人や、国民負担についてまったく触れられていないことを指摘しました。
“模擬授業”を終えて「戦前にも、熱心な先生が同じような授業をしていた」という感想もあがりました。
歴科協の研究者は、「領土の画定と新教科書の記述」と題して報告。政府見解を書かせようとした点に注目するとともに、領土問題を通じて、教科書で“何を”教えるかも大事だと話しました。