2015年6月27日(土)
国民の反発 激化必至
TPA可決 米紙分析
【ワシントン=島田峰隆】環太平洋連携協定(TPP)交渉妥結の前提となる大統領貿易促進権限(TPA)法案が成立する見込みになったことについて、25日付の米各紙は、交渉が進むにつれて国民の反対がさらに強まる可能性があるとし、今後も多くの困難がオバマ政権を待ち受けていると分析しています。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「TPA付与が勝利への気楽な行進だと考えるのは大きな間違いだ」とのTPP推進派の専門家による指摘を紹介しました。
同紙は、労働組合や環境団体にとどまらず、自動車業界や、主に米国内の市場で取引する製造業の一部、医療分野の専門家などにもTPPへの懸念が根強くあることを指摘。「TPPの合意文書の全体が公表されれば、ほぼ間違いなく、環境・労働団体、消費者団体、そして宗教指導者までもが一斉に明確な批判の声を上げるだろう」と予想しています。
ニューヨーク・タイムズ紙は、オバマ氏が与党民主党内の反発を押し切り、対立する共和党指導部と協力してTPAを推進したことに触れ、「民主党内の抗争は激しく、傷はなかなか癒やされないかもしれない」と分析。民主党内には「草の根の反乱を起こす」とTPP反対のたたかいを続けると宣言する議員もおり、「もう一つの激烈な戦闘の兆しを示している」と見ています。
ワシントン・ポスト紙も、交渉妥結と米議会の最終承認までは6カ月以上かかる可能性を指摘し、「労組は間違いなく反対運動を再開する」「大統領選挙運動のさなかに民主党をいっそうの混乱に陥れるだろう」としました。