2015年6月26日(金)
「育休で退園」違法 所沢市を保護者11人提訴
さいたま地裁 保育所増設こそ必要
第2子以降の出産に伴い、保護者が育児休業を取ると保育園に通う上の子を退園させる「育休退園」の方針を埼玉県所沢市が決めたことは違法だとして、市内の8世帯11人の保護者が25日、市を相手取り、退園差し止めを求める訴訟を、さいたま地裁に起こしました。早期の判断を求める仮差し止めも申し立てました。
同市では、2015年度から保護者が育休を取得すると、0〜2歳児クラスの在園児は、母親が病気などの場合を除き、継続して保育を受けられなくなります。
提訴後、原告の保護者らが厚生労働省で記者会見。5月に第3子を出産した女性(37)は「もう1人産みたいと思っていたけど、この制度ができたから諦めた」。第4子を妊娠中の女性(36)は、市が開催する「市政トーク」で藤本正人市長が「子どもはお母さんといたいはず」と述べたことにふれ、「自分の子育てを全否定されたように思った。市長個人の考えを市民に押しつけないでほしい」と訴えました。
原和良弁護士は、所沢市の政策は女性の社会進出支援政策に逆行するものだと指摘。「待機児童が存在すること自体が違法であり、地方自治体はただちに保育所を増設し、保育を行う義務がある」と述べました。
所沢市の「育休退園」問題 所沢市では昨年度まで、各施設長の判断で育休中も在園児の保育利用が認められていました。しかし、子ども・子育て支援新制度の施行に伴い、今年度から保育の継続の決定は市が行うとし、在園中の0〜2歳児は母親が出産した翌々月に原則退園となりました。市は、育休が明けると、退園となった子は優先的に保育園に入れるようにするとしていますが、保護者からは「元の保育園に戻れる保障はない」と不安の声が上がっています。