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2015年6月26日(金)

きょうの潮流

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 今年はファーブル没後100年。生涯をかけた大著『昆虫記』を残したフランスの昆虫学者です▼日本で『昆虫記』の一部が翻訳・紹介されたのはファーブル死後4年の大正期でした。その数年後に、無政府主義者の大杉栄(さかえ)が最初の本格的な日本語訳として第1巻を出版。以後、現在に至るまで何度も訳者を変え訳し直されています▼多くの人が『昆虫記』に魅せられています。アフガニスタンで井戸を掘り、用水路を造るなどの支援活動を続ける医師、中村哲(てつ)さんもその一人。自著などでこう回想しています▼ハンミョウという美しい虫と出合い、中村少年は「人は見ようとするものしか見えない」と知ったといいます。そして『昆虫記』を読んで、虫の世界にますますのめり込み、ファーブルのように村に住んで虫を研究するのが夢だったと▼「ファーブルが生きた時代は戦争の時代でもありました」とフランス文学者の奥本大三郎さんが書いています(NHK出版)。クリミア戦争や普仏戦争、最晩年には第1次世界大戦が起き、息子や娘婿が大戦に出征する事態に。静かに虫の観察・研究を続けてこられた環境は一変しました▼伝記を読むと、負傷して帰ってきた村人らを招待するなどして、むさぼるように話を聞いたとあります。亡くなったのは大戦中で、91歳でした。奥本さんは『昆虫記』でファーブルが繰り返し問いかけているといいます。「唯一死を知る生物であるはずの人間が、なぜ戦争というおろかな殺し合いをやめないのか」と。


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