2015年6月26日(金)
「海賊対処」口実に兵たん拠点
ジブチ自衛隊基地強化狙い来年度に整備費
戦争法案を先取り
防衛省は25日までに、「海賊対処」を口実にアフリカ東部のジブチに展開している自衛隊の駐留部隊を拡充し、中東・アフリカでの米軍支援のための「兵たん」など派兵拠点として活用する検討に入りました。国会で審議中の戦争法案を先取りする重大な動きです。2015年度予算に3000万円の調査費をすでに計上。早ければ16年度予算に所要経費を計上する狙いです。
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戦争法案には、自衛隊が「戦闘地域」に踏み込んで米軍や他国軍への食料・弾薬輸送などを行うことが盛り込まれています。同省は、ジブチをこうした活動の拠点にもする考えです。安倍晋三首相は国会審議で「ホルムズ海峡の機雷掃海」を口実に、中東派兵を進める考えを繰り返し示しています。
防衛省はソマリア沖アデン湾での「海賊対処」のためとして陸海自衛隊約580人を派兵。ジブチ国際空港の北西地区の約12ヘクタールに、P3C哨戒機の駐機場や司令部庁舎などを約47億円かけて整備し、約180人の隊員が活動しています。
同省はこれまで、「恒常的にジブチに駐留するわけでなく、あくまで海賊対処のため」(13年11月、小野寺五典(いつのり)防衛相=当時)と説明していました。しかし、アデン湾での海賊事案発生件数は激減。今年は0件です(グラフ)。当初の派兵理由がなくなり、本来なら撤退すべきですが、防衛省内では、ジブチを中東・アフリカの拠点基地として「多目的に使いたい」(幹部)との声が上がっていました。
13年末に決定された防衛大綱は、PKO(国連平和維持活動)や多国籍軍支援を念頭に置いた「国際平和協力活動等」を「効果的に実施する観点から…(中略)…ジブチに有する拠点を一層活用する方策を検討する」と明記。これを踏まえ、15年度軍事費に盛り込まれた調査費でも、「国際平和協力活動等を効率的に実施する」ためと説明。基地の機能や目的を変質させる狙いを明らかにしています。
ジブチには米軍、フランス軍や北大西洋条約機構(NATO)部隊も駐留しています。ジブチの強化は、米軍などとの連携強化の狙いもあると見られます。
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