2015年6月24日(水)
国会会期大幅延長への
塩川議員の反対討論
衆院本会議
日本共産党の塩川鉄也議員が22日、衆院本会議で行った国会会期大幅延長への反対討論は以下の通りです。
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国会史上かつてない95日間の延長に断固反対します。
いったい何のための会期延長なのか。与党側は安保法制、派遣法案、農協法案など重要法案の審議が続いており、ていねいに審議するためと説明しました。きわめて重大です。
政府与党が会期延長で最大の目的にしている安保法制は、憲法9条を根底から覆し、日本がどこからも攻撃されていないのに、集団的自衛権を発動してアメリカの戦争に自衛隊が参戦し、海外での武力行使に乗り出すものです。自衛隊は、世界中でいつでもどこでも、アメリカが起こすどんな戦争でも「戦闘地域」まで行って武器の輸送、弾薬の提供などの後方支援、いわゆる兵站(たん)を行おうというものであり、武力行使と一体となることは明らかです。
戦乱が続いている地域での治安維持活動に自衛隊を派兵し、任務遂行のための武器使用まで拡大するのは、違憲の武力行使に至る危険が明白です。
憲法を全面的に破壊する「戦争法案」にほかなりません。
戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を明記した憲法9条のもとで、歴代政府は「自衛のための必要最小限度の実力組織だから自衛隊は憲法違反でない」「自衛隊の海外派兵は憲法違反」「集団的自衛権行使は認められない」との見解をのべてきました。
長年にわたってとり続けてきた憲法解釈をかえる理由として、政府は「安全保障環境の根本的変容」を唯一の根拠としてあげましたが、他国に対する武力攻撃によって、法案がいうような「存立危機事態」に陥った国の実例は一つも示せなかったのです。
結局、何が「存立危機事態」で、どういうときに集団的自衛権を行使するのか、明確な基準は何もありません。政府の一方的判断で自衛隊を「中東有事」にまで出動させ、武力行使するという危険極まりないものであることがこの間の国会審議で明らかになりました。
政府は集団的自衛権行使の根拠として最高裁の砂川判決を持ち出しましたが、同判決は集団的自衛権について触れていないばかりか、当時の米国政府の圧力のもと「統治行為論」をとり、憲法判断をさけたものです。
「集団的自衛権の行使が認められる」という政府の弁明は、ことごとく崩れ去っているのです。にもかかわらず、通常国会最長の95日間もの延長によって、憲法違反の戦争法案を何としても強行成立させようなど断じて許されません。
この大幅会期延長は、参院の審議において60日間を過ぎれば否決したものとみなし、衆院で3分の2以上の多数で再議決し成立させることまで視野に入れています。憲法違反が明白な法案を、議会制民主主義を踏みにじって成立させるなど断じて容認できません。
また、この会期延長は、昨年2度も廃案となった労働者派遣法をはじめとする悪法を成立させようというものです。戦後労働法制の根幹を崩す派遣法の成立など到底認めることはできません。
連日、国会周辺で多くの国民が「憲法違反の戦争法案やめよ」の声を上げています。世論調査では大多数が「成立を急ぐべきでない」としています。政府・与党には、この声が聞こえないのでしょうか。いまなすべきは、この国民の声に耳を傾け、会期を閉じ、戦争法案など悪法を廃案にすることであります。