2015年6月24日(水)
きょうの潮流
「アンポ、ハンターイ」。デモ隊に囲まれた祖父の家で声を上げ足踏みすると、父や母から「アンポ、サンセイと言いなさい」とたしなめられた―。安倍首相が子どものころのエピソードを自著に書いています▼ときは安保闘争燃え盛る1960年6月。在日米軍基地の恒久化やアメリカの戦争への参加、米軍の特権を認める日米地位協定を含んだ安保改定は、国民の大きな反対運動を引き起こしました▼当時、強引な国会運営で安保改定を押し切り、自衛隊を出動させてまで反対運動を弾圧しようとしたのが安倍首相の祖父、岸信介でした。のちに岸は、安保改定をてこに改憲の実現も考えていたのではと問われ、「もちろん」と答えています(『岸信介証言録』)▼55年前の6月23日に発効された日米安保条約。そのとき、国民のたたかいの壮大なひろがりを前に、追いつめられ、孤立していった祖父。その姿に自身を重ね合わせているのでしょうか▼いま安保法案=戦争法案をめぐって日に日に高まる反対の声。直近の世論調査を見ても、急増する反対が5割、6割を占めて賛成を圧倒しています。違憲だと答える国民も同様の多さです。反対集会では「安保闘争のときと似てきた」という人も▼祖父をまねて国会延長を強行してまで戦争法案の成立に固執する安倍首相。日本の独立や米国との対等のパートナーを口にしながら、アメリカいいなりの日米同盟を推し進め、歴史に逆行してきた系譜。彼らの野望を成就させるわけにはいきません。