2015年6月21日(日)
陸自 PKO訓練拡大
戦争法案を先取り
部隊初参加で「巡回」「検問」
モンゴルで実施
戦争法案の先取りが、自衛隊の現場で急速に進んでいます。陸上自衛隊は20日、モンゴルでの多国間共同訓練カーン・クエストに訓練部隊を初めて参加させ、過去最大の参加規模で国連平和維持活動(PKO)の能力向上を図る訓練を開始しました。訓練内容には、PKO法改定案で追加される「安全確保業務」(治安維持活動)の一部である「巡回」「検問」などが含まれています。
カーン・クエストは米国とモンゴルが毎年共催している訓練で、陸自の参加はこれまで教官要員のみにとどまっていました。今回は中央即応集団から教官要員8人に加えて訓練部隊25人、陸上幕僚監部などから6人の計39人が参加します。
訓練内容は、▽巡察▽検問(要所での車両・通行人のチェック)▽車両縦隊行動▽第一線救護▽即製爆発物(IED)対処全般―の5課目。巡察と車両縦隊行動には、襲撃対処要領の訓練も含まれます。
現行PKO法の国連平和維持軍(PKF)の本体業務は2001年に凍結が解除され、緩衝地帯などでの駐留・巡回や武器の搬出入の検問などを認めていますが、武器使用が「自己防護」に限られていたため、任務実績はありません。
戦争法案では、現地住民や区域保護などの「監視、駐留、巡回、検問、警護」に拡大。武器使用権限も広げ、アフガニスタンで多くの戦死者を出したISAF(国際治安支援部隊)のような活動まで可能になります。
陸自担当者は、「審議中の法案の訓練をするものではない」としています。一方、訓練は宿営地内に限ったものではありません。