2015年6月18日(木)
「武力行使と一体でない後方支援」は世界で通用しない 党首討論 志位委員長が追及
首相「国際法上の概念ではない」と認める
「政府の言う『武力行使と一体でない後方支援』など、世界ではおよそ通用しない」―。日本共産党の志位和夫委員長は、17日の党首討論で、戦争法案で大幅拡大される自衛隊の米軍等に対する「後方支援」について、「他国の武力行使と一体化しないから憲法違反ではない」とする、政府のいわゆる「武力行使との一体化」論について、「国際法上の概念が存在するのか」と追及しました。安倍晋三首相は「国際法上の概念ではない」と認め、自らの答弁を事実上撤回しました。 (関連記事)
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安倍首相は先月の衆院本会議で、同様の質問をした志位氏に対し、「(一体化論が)『世界で通用しない』といったご指摘は当たりません」と答弁していました。(5月26日)
志位氏は、政府が「後方支援」と呼んでいる活動は、国際的には兵站(へいたん)=ロジスティクスと呼ばれる活動であり、兵站は武力行使と一体不可分であり、軍事攻撃の格好の目標となることは、「世界の常識であり、軍事の常識だ」と強調しました。
志位氏は、「他国の武力行使と一体でない後方支援ならば武力行使とみなされない」という国際法上の概念が存在するのかと追及。安倍首相は、「(一体化論は)国際法上の概念ではない」「憲法との関係で概念を整理したものだ」と述べ、日本独自の概念であることを認めました。
志位氏は、「武力行使との一体化」論について「国際法上は…確立した概念が存在するわけではございません」(外務省の東郷条約局長)とした1999年の政府答弁を引用し、「国際法上は概念そのものが存在しない。(一体化という考え方の)英訳すら確定したものがない」と指摘。「政府の議論は『世界で通用しない』議論ではないか」と迫りました。
首相は「安全な場所で物資を渡すのが常識だ」などと、活動場所の議論にすり替えようとしたものの、答弁に窮し、「国際法上の『一体化』論が通ると言ったことは一回もない」とのべざるをえませんでした。志位氏は、「兵站は軍事攻撃の格好の標的となり、自衛隊が兵站をやっている場所が戦場になる」ときびしく批判しました。
志位氏は、自衛隊の活動地域を世界的規模に拡大しながら、世界のどこにも通用しない議論を盾にして、「自衛隊が行う『後方支援』は武力行使ではなく、憲法違反でないなどという詭弁(きべん)を言い募ることは断じて許されない」と批判。憲法9条違反の戦争法案を即時廃案にするよう強く主張しました。
他国の武力行使との一体化 「一体化」論とは、憲法9条によって自衛隊の武力行使(戦闘行為)が禁止されているもとで、米軍など他国軍の戦闘行為に対する補給・輸送といった支援活動を、「武力行使と一体化」しない範囲で認めるという日本政府独自の論理。従来は自衛隊の活動を「非戦闘地域」に限ることで「一体化」を回避していましたが、戦争法案からはこの制約が撤廃されています。