2015年6月14日(日)
「軍学共同」 研究ゆがめる
研究者シンポ「平和が学術の原点」
国内の大学・研究機関に所属する一部の研究者の間で、防衛省と共同研究をしたり、防衛省や米軍からの資金援助を受けて研究する動きが進んでいる問題で、「急進展する軍学共同にどう対抗するか」と題したシンポジウムが13日、東京都目黒区の東京大学駒場キャンパスで開かれました。
研究者や市民ら約150人が参加し、市民社会と連携して反対運動を広げようと呼びかける集会アピールを採択しました。
主催団体の一つ、軍学共同反対アピール署名の会代表の池内了・名古屋大学名誉教授(宇宙物理学)は、防衛省と協力している研究機関が得られた技術情報や研究成果を合意なしに公表できない問題など、軍学共同の問題点について報告。戦後日本の学術の原点である平和主義の大切さを訴えました。
藤岡惇・立命館大学教授(平和の経済学)は「軍需で経済がうまくいくというのは幻想であり、軍需に依存すると国際競争力を失う」と述べ、戦争を想定した社会の危険性を説明しました。
討論では、研究費が削られていることと軍事研究の誘惑がセットになっている現実、戦闘機づくりへの貢献をアピールする大学の研究室があること、いかに研究資金を獲得するかにきゅうきゅうとして米軍の援助を受け入れている大学の状況などが紹介されました。
一方、こうした動きに対して、軍事研究の禁止をうたう東京大学での運動やアピール署名の広がり、ドイツの大学で学則に「民生平和条項」を書き込む運動の経験などを語りあいました。
主催は、アピール署名の会のほか、大学・研究機関の職員組合、九条科学者の会、日本科学者会議など15団体。