2015年6月14日(日)
米TPA法案事実上否決
関連法案を下院認めず
【ワシントン=島田峰隆】米下院(定数435)は12日、議会が持つ通商権限を大統領に条件付きでゆだねる大統領貿易促進権限(TPA)法案の採決を行い、賛成219、反対211で可決しました。ただ同法案とセットで審議された関連法案は否決。関連法案が可決しないとTPA法案は成立できない仕組みのため、同法案は事実上否決された形になりました。
TPAは環太平洋連携協定(TPP)交渉妥結の前提とされ、オバマ大統領が法案成立を求めています。米メディアは、オバマ氏にとって「大きな敗北」と伝えています。
否決された関連法案は、自由貿易の拡大によって失業した人を支援する貿易調整支援制度(TAA)法案。賛成126、反対302でした。下院は、週明けにも関連法案の採決を再度試みる意向で、予断を許さない状況が続きます。
与党民主党は従来、TAA支持でした。しかし同党の支持基盤とされる労働組合や環境団体が、多国籍企業に過剰な権限を与えるとしてTPPへの反発を強める中、同党議員の多くがTAA法案に反対しました。
ペロシ民主党院内総務は11日、「TAA法案に反対票を投じることがTPAを遅らせる唯一の方法だ。他国とのどんな合意であれ、米国の労働者にとってより良いものを望む」と語りました。上院は先月、TPA法案を可決しました。(関連記事)