2015年6月13日(土)
水銀汚染防止法成立
市田氏「業者責任の明記を」
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水銀による地球規模での環境汚染を防止する「水銀条約」を担保する水銀環境汚染防止法と大気汚染防止法改正案が12日の参院本会議で全会一致で可決、成立しました。
11日の参院環境委員会で日本共産党の市田忠義議員は、水銀を含有する電池や蛍光灯など、業界による自主的回収の取り組みでは限界があり、利用関連業界・団体の力をかりながら「製造・販売・輸入業者の責任で回収処理するよう法律に明記すべではないか」と主張しました。
望月義夫環境相は「事業者には条約の要請を踏み込んだ措置として、水銀使用に関する表示や必要な情報を提供する努力義務を規定している」と述べ、製造業者等の回収責任についてはまともにこたえませんでした。
市田氏は、2010年に東京都の清掃工場で排ガス中の水銀濃度が上昇し、焼却炉を緊急停止した事故を示しながら、何よりも水銀使用製品を焼却炉に入れない、ごみの分別回収の重要性を指摘。望月氏も「分別回収は大切」と答弁しました。
市田氏は、国も優良事例として紹介している京都市の「移動式拠点回収事業」は市民からも歓迎されているが、回収のための費用が新たに発生すると指摘。全国どこでも同じように回収できるよう、技術的援助だけでない財政的支援を求めました。
望月氏は「まずは技術的援助、財政的支援についてはよく考えていきたい」と述べるにとどまりました。
参考人 国の財政支援も必要
参院環境委員会は9日、水銀環境汚染防止法案と大気汚染防止法改定案について参考人質疑を行いました。NPO法人コンシューマーズ京都の原強氏らが参考人として出席し、市田忠義議員が質問しました。
原氏は意見陳述で、家庭からの水銀廃棄物の適正な処理を確保するためには、自治体でできることは限られるので、製造・販売業者の協力、国の財政的支援などのバックアップが必要であり、とくに「拡大生産者責任」の考え方をどのように扱うかが問題だと強調しました。
市田氏は、新たな水銀使用製品の分別収集は、自治体の財政負担になる。国は、自治体の実情を把握したうえで、技術的援助にとどまらず財政的支援も検討すべきでないかと提起し質問しました。
原氏は「みんながやれる仕組みをつくるうえで国の財政的支援も必要ではないか」と述べました。
市田氏は、製造・販売・輸入事業者が拡大生産者責任を果たしていくのは当然だが、少なくとも水銀の有無の表示だけでなく、教育・啓もう活動なども行うべきだと指摘。原氏は「市民団体、消費者団体との連携もあっていいので、メーカーなどが積極的役割を担ってもらいたい」とこたえました。