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2015年6月11日(木)

政府は「基本論理」継承というが

72年見解「変更」明確に

法制局長官答弁

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 横畠裕介内閣法制局長官は、武力行使ができる「新3要件」の根拠とされる“政府の1972年見解”の「基本論理」と「結論」を分離し、集団的自衛権行使容認の「基本論理」を継承する見解は、自分が初めて示したと述べました(10日、衆院安保法制特別委)。

 72年見解は、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」と結論づけています。ところが安倍政権と横畠内閣法制局長官は、その「結論」と、結論を導く「基本論理」を峻別(しゅんべつ)し、「結論」だけを百八十度逆転させました。

 政府は「基本論理」を継承したから「従来の政府解釈の範囲内」と強弁しています。しかし、「結論」と「基本論理」を峻別する手法は、従来の法制局の見解ではなく、安倍政権と横畠長官が初めて独自に示したもので、72年見解の変更がいっそう明確になりました。

 72年見解は、外国の武力攻撃によって国民の生命・自由が根底から覆される事態に初めて武力行使が許されるとし、それは、日本に対する武力攻撃に対処する場合(個別的自衛)に限られ、集団的自衛権の行使は許されないとするものです。

 これを「基本論理」(前段)と「結論」に峻別し、自分たちに都合のいい情勢の変化に当てはめ、集団的自衛権行使を認める逆の「結論」にすり替えたのが昨年の「閣議決定」です。

 こうした「結論」と「基本論理」の峻別論は、第1次安倍内閣当時の内閣法制局長官だった宮崎礼壹氏が厳しく批判しています。

 「(72年政府見解は)個別的自衛権の行使が現行憲法第九条の下でも許される理由を述べたものであって、同じ基準の裏返しとして、『…集団的自衛権の行使は、憲法上許されない』と明記した」

 「その部分部分をつぎはぎし、同説明書(見解)で示された基準は必要最小限度の自衛の措置かどうかであり、集団的自衛権がそれに当たるかどうかは事実の当てはめ結果に過ぎないなどと強弁するのは、こじつけ以外の何物でもない」(『世界』昨年8月号)

 72年見解の核心は、日本に対する武力攻撃があるときこそ、国民の権利が根底から覆されるという、一体となった論理であり、その帰結として集団的自衛権の行使は許されないとしたものです。「閣議決定」(昨年7月1日)は72年見解の「基本論理」を維持したどころか、それを破棄したものです。

 第2次安倍政権における「新発案」だとした10日の横畠答弁は、その実態をいっそう明確にしました。

 (中祖寅一)


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