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2015年6月8日(月)

きょうの潮流

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 千人針に慰問袋、米や燃料の配給切符、紙製の衣服、「何がなんでもカボチャを作れ」と記された『戦時農園講義録』、防空訓練で使われた防毒マスクと警報機…▼東京の台東区立下町風俗資料館では、戦後70年を記念して、戦時下の暮らしを伝える多様な資料を展示しています。日中戦争が激化する中、1938年に施行された国家総動員法によって、日々の衣食住すべてが戦争に巻き込まれていく様子が迫ってきます▼再現された灯火管制下の部屋は、電灯のかさに黒い布をかぶせ、窓一面に白い紙の目張り。座っていると、国家に光を奪われていく不安と、もしこうこうと明かりをつけたら非国民として糾弾されるに違いないという恐怖にとらわれます▼当時の婦人雑誌には、古着を仕立て直して機能的な服を作る特集が掲載され、型紙の付録も。乏しい配給を補うため家庭菜園の野菜を使った料理の紹介もあります。メディアがどのようにして女性を戦時体制へと動員していったかがわかるとともに、極限の生活の中でも懸命に生きた人々の姿が彷彿(ほうふつ)とします▼同館はまた、戦前の実物大の長屋を常設しており、失われたものの面影を伝えています。共用の路地と井戸端は子どもの遊び場であり、七輪を出せば台所の延長となり、夏には縁台で夕涼みをする大切な交流の場でした▼この町並みと生活は45年の空襲で焼き尽くされてしまいます。かけがえのない暮らしを二度と奪われてはならない。展示物に込められた人々の思いが語りかけます。


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