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2015年6月8日(月)

徹底批判!戦争法案

憲法の上に法案をおく 中谷防衛相の逆立ち答弁

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 「安全保障法制はどうあるべきか与党で議論をいただき、現在の憲法をいかにこの法案に適応させていけばいいかという議論を踏まえ(法案の)閣議決定を行った」

 中谷元・防衛相の国会答弁に「本末転倒だ」と糾弾する声が広がっています。

 衆院憲法審査会(4日)に参考人として出席した憲法学者3氏全員が戦争法案を「違憲」と断じたのを受け、5日の衆院安保法制特別委で民主党議員が政府に同法案撤回を迫りました。これを拒否した中谷防衛相の答弁が、“憲法を法律に合わせた”“だから違憲ではない”という「適応」発言で、異様な逆立ちぶりに批判が集まっています。

 一部報道や速記録では「適用」と読み取っていますが、憲法を法案に“あてはめる”という点では「適用」であろうと同じです。「適応」では、憲法の上に法案を置く立場がより露骨です。

「本音」を吐露

 法案ありきで憲法解釈をねじ曲げたという“本音”を中谷氏が吐露したもの。大臣に課せられた、憲法尊重擁護義務(99条)に反する重大発言です。

 中谷答弁の意味するところは、(1)集団的自衛権行使や戦地派兵で米軍への軍事支援を密接・積極的に進める必要がある(政策判断)→(2)そのための自衛隊活動の根拠となる法整備を進める必要がある(法整備の必要性)→(3)憲法9条「改正」が必要となるが世論の抵抗が強くすぐの実現困難→(4)憲法「解釈」を変更し法案を可能とするということです。

 実際、昨年7月に強行した集団的自衛権行使容認の「閣議決定」では、国際社会の安定に「これまで以上に積極的に貢献する」として、「切れ目のない対応を可能とする国内法整備」を進めるため「憲法解釈変更」を宣言していました。中谷答弁は、この安倍政権の「改憲精神」を忠実に吐露したものでもあります。

 憲法98条は、「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」とします。これに逆行する、まさに権力者による憲法破壊のクーデターに等しい中谷発言です。

違憲発言敵視

 戦争法案とりまとめの与党協議座長を務めた高村正彦自民党副総裁は、憲法審査会での「違憲」発言に対し、「憲法学者は9条2項の字面(じづら)に拘泥(こうでい)する」(5日)と憲法学者の意見を敵視しました。

 しかし憲法9条2項の戦力不保持の規定にてらし世界中で米国の戦争に参加、協力するのが無理だというのは当然です。高村発言は「憲法の言葉を無視しろ」と言うに等しいもので立憲主義破壊の極みです。

 改めて憲法破壊のクーデターという本質を浮き彫りにした中谷答弁。これに追随する高村発言。主権者国民による憲法擁護のたたかいはさらに燃え広がります。(中祖寅一)


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