2015年6月6日(土)
「自由貿易」は人権に悪影響
国連の専門家グループ
TPPなど懸念の声明
人権問題を担当する国連の特別報告者や専門家10人が2日、環太平洋連携協定(TPP)を含む自由貿易協定や投資協定について、貧困問題を深刻化させるなど人権に対する否定的影響を懸念する声明を発表しました。
声明は、貿易や投資に関する協定が、経済の新しい機会を生み出す可能性があるとする一方で、健康保護、食品の安全、労働基準に関する基準を引き下げ、医薬品を独占する権益を企業に与え、知的財産権の保護期間を延長することなどによって、人権の保護と促進に逆行する影響をもたらしかねないと指摘しています。
また、極貧問題を深刻化させ、対外債務の公平で効果的な再交渉を困難にし、原住民、少数者、障害者、高齢者、社会的弱者の権利に悪影響するとの正当な懸念があるとしました。
そうした懸念に立って、声明は以下の勧告を行いました。
▽労働組合、消費者団体、環境保護団体、保健専門家などすべての関係者の協議や参加によって、透明性をもって交渉すること。
▽国会議員や市民団体が検討できるよう、条文草案を公開すること。
▽現存および交渉中の協定について、人権への影響を事前、事後に評価すること。
▽協定の当事国が、人権上の自らの義務をどう果たすか、詳しく明らかにすること。
▽人権の全面的な保護と享受を保障するための確固とした保護条項を盛り込むこと。