2015年6月5日(金)
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年金が減って消費落ち込み?
消費が落ち込んでいるのは、消費税増税と賃金引き下げのためだけでなく、年金が減っているせいでもあるのではないでしょうか。 (大阪市・女性)
政府の統計でもはっきり
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年金水準の切り下げや社会保険料の上昇により、年金の手取り額は年々減ってきました。これが消費支出の減少を招いていることは総務省「家計調査」からも明らかです。
世帯主が60歳以上の高齢世帯のうち、無職世帯は約7割。多くは収入の大部分を公的年金に頼っているとみられます。この高齢無職世帯の消費支出は減少傾向にあります。2014年には月平均20万7370円。2000年と比べて7521円減りました。(グラフ)
背景には所得の激減があります。収入から税金や社会保険料を引いた可処分所得をみると、高齢無職世帯の月平均は14年に14万7761円。2000年の18万2455円から3万4694円も減りました。必要な消費を維持するために預貯金などの取り崩しが2万7174円増えましたが、所得の減少分をすべて補うにはいたらず、消費が減ってきたという構図です。
公的年金の水準は2000年以降、14年までに累積で3・9%も削減されました。そのうえ年金からとられる社会保険料は値上がりを続けています。
2000年度から14年度にかけて、65歳以上の介護保険料は1・7倍に上昇(年3万4932円↓5万9664円)。国民健康保険の1人当たり保険料(税)は14%近く上がりました(年7万6048円↓8万6576円)。後期高齢者医療の1人当たり保険料も、08年度から14年度にかけて7%以上上がりました(年6万3396円↓6万8016円)。
社会保障の相次ぐ改悪が高齢者の可処分所得を減らし、消費を冷え込ませる作用をしてきたことは確実です。
(2015・6・5)