2015年6月3日(水)
徹底批判! 戦争法案
武器使用 定義も実態も武力行使
戦争法案の違憲性明確に
日本共産党の志位和夫委員長が5月27、28両日に衆院安保法制特別委員会で行った質問では、戦争法案の違憲性・危険性が全面的に解明され、新たな事実も明らかになりました。 (竹下岳)
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その一つが、「武器の使用」と「武力の行使」を区別するという長年の政府見解に関して、「国際法上、軍隊による武器の使用という特別な概念や定義があるわけではない」ことを、外務省が公式に認めたことです(別項)。これは、歴代政権が進めてきた海外派兵の“正当性”を否定し、地球規模で米軍の戦争に参加しようとする戦争法案の根幹を揺るがす重要な事実です。
戦後初の海外派兵法であるPKO(国連平和維持活動)法案審議の最中である1991年9月21日、政府は、自衛隊がPKOに参加した場合の「武器の使用」について、憲法9条1項で禁じている「武力の行使」と区別される概念である―との見解を衆院PKO特別委員会に提出しました。
同見解は、「自己防護」のための武器使用は「自己保存のための自然権的権利」であり、そのための必要最小限度の武器の使用は「武力の行使には当たらない」と結論づけています。この見解は、その後の海外派兵法に踏襲されました。
しかし、この議論は国際的に通用しません。「武力の行使」は英語で「Use of force」ですが、国連PKOの武器使用基準を定めた「交戦規則」(ROE)を見ても、「自己防護」に該当する活動での武器の使用を含めて、すべて「Use of force」と表記されています。
外務省資料が引用している、日本共産党の立木洋参院議員(当時)と政府委員のやりとりでも、その点は明らかです。
加えて外務省は、政府答弁に「ここで言及している『武器の使用』は、我が国国内法上の『いわば自己保存のための自然権的権利というべきもの』を含む」と、わざわざ注書きをつけています。
つまり、「自己防護」のための武器使用だと自分たちが考えていても、「武力の行使」と区別できる国際法上の根拠はないと明確に認めたのです。
安倍晋三首相は海外での武力行使=いわゆる海外派兵は「一般的に禁じられている」と言います。一方で首相は志位氏の追及に、自衛隊が戦争法案に基づいて「戦闘現場」近くまで派兵して攻撃を受け、「武器の使用」をする可能性を認めました。(5月27日)
外務省見解に照らすならば、この場合の「武器の使用」は、「武力の行使」と区別することはできず、憲法9条が禁じる海外での武力行使にならざるをえません。
「武器の使用」はフィクション
安倍首相に集団的自衛権行使容認や海外での武力行使を提言した「安保法制懇」のメンバーである村瀬信也氏は、国連が行う「武力の行使」(Use of force)は、自衛権に基づく「武力の行使」とは異なる「武器の使用」(Use of weapons)とすべきとの議論を展開しています。
しかし、そのような議論は国際的にも、国内でも圧倒的少数です。インターネット検索サイト・グーグルで「Use of weapons」を検索すると、同名の小説の題名がヒットしました。「武器の使用」はフィクション、といったところでしょうか。