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2015年5月30日(土)

戦争法案審議 途中散会の真相

危険性 隠すつもりが…

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 29日午後1時すぎ、衆院第1特別委員室。自民党の2人の理事が、多くの記者が待ち構えている正面出入り口を避け、別の出入り口から一気に走り去っていきました。

 安倍政権の命運をかけた戦争法案が、27日の委員会審議開始から、わずか3日で途中散会に追い込まれ、自民党議員たちは何も語れなくなってしまったのです。

■二転三転

 問題の発端は、「重要影響事態」の認定をめぐる民主党の後藤祐一議員の追及に対して、岸田文雄外相の答弁が二転三転したことです。

 岸田氏は28日、過去の政府答弁を追認し、「経済的な要因のみで重要影響事態にはならない」としてきましたが、29日には事実上、これを修正。過去の政府答弁は「議事録には残っている」と突き放す一方、「『周辺事態』とは、…その性質上、軍事的な観点を始めとする種々の観点から見た概念である」として、避難民流入や、ある国に対する経済制裁なども含めた1999年4月の政府見解を読み上げたのです。(別項)

 この答弁からは、岸田氏が前日の答弁を撤回したという印象を受けます。当然ながら、後藤氏は「答弁を修正したのか」とただしました。しかし岸田氏は明言を避け続け、結局、野党退席⇒休憩⇒散会―となったのです。

■認識混乱

 この問題の根本にあるものは何か。

 第一に、戦争法案では、米軍のあらゆる戦争への参戦を可能にするため、「事態」を乱立させました。各種事態の定義や事態間の関係をめぐり、政府自身の認識も混乱しているのです。28日には、「重要影響事態」と「存立危機事態」、さらに「武力攻撃切迫事態」との関係性を問われ、あいまいな答弁しかみられませんでした。

 第二に、戦争法案の危険性を意図的に隠すことで国会審議を乗り切ろうという、安倍政権の姑息(こそく)な姿勢があります。岸田氏が29日に読み上げた政府見解を最初から読み上げていれば、日本に「軍事的な波及」がなくても自衛隊を地球の裏側まで派兵し、米軍を支援することを公然と認めてしまうことになります。「重要影響事態」を小さく見せかけようとして、結果的に泥沼にはまってしまった―。これが真相です。(竹下岳)

     周辺事態に関して政府が示した6要件(1999年4月26日)

 (1)日本周辺の地域で武力紛争の発生が差し迫っている場合

 (2)日本周辺の地域で武力紛争が発生している場合

 (3)日本周辺の地域で武力紛争は停止したが、秩序の維持・回復が達成されていない場合

 (4)ある国で内乱、内戦が発生し、国際的に拡大している場合

 (5)ある国の政治体制が混乱し、日本に避難民流入の可能性が高まっている場合

 (6)ある国が国連安保理決議に基づく経済制裁の対象になる場合


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