2015年5月28日(木)
きょうの潮流
戦争法案を平和安全法制と銘打つ。武器を輸出し、海外で戦争できる国づくりを積極的平和主義と呼ぶ。中身とは正反対の名称で国民を欺く安倍政権ですが、自民党の改憲漫画も同じです▼「ほのぼの一家の憲法改正ってなぁに?」。改憲に導くきな臭い漫画なのに「ほのぼの一家」と付けるところがあざとい。いかにも、仲むつまじく暮らす家族が現行憲法に疑問をもちはじめ、改憲に傾いていく筋書きです▼物語はまず憲法の古さを強調します。「ケータイもネットもなかった時代の憲法で今の社会についてこれるのかしら?」「環境問題についても書かれてないなんて今の憲法ってエコじゃないのね」▼さらに押し付け憲法論に進み、今の憲法は「個人主義的」と決めつける。女性の地位が向上したとしながら個人の自由が強調されすぎ、家族の絆や地域の連帯が希薄になったと▼みんなで考えようといいながら、改憲でどんな国をめざすのかは示していません。それどころか「戦争を放棄さえすれば戦争がないと思っとるのか」と脅かす。改憲勢力の目的が透けて見えます▼日本国憲法は古いどころか、時代の最先端をいく憲法です。各国の憲法を分析した法学者も、世界で主流となった人権の上位19項目すべてを満たす先進ぶりと認めています。いくら環境権を持ち出しても、最悪の環境破壊である原発を推進してきたのは自民党です。「明治憲法の焼き直し」と批判される改憲草案を掲げた党がほのぼのさを装っても、底が割れています。