2015年5月27日(水)
「戦争法案」論戦 初日の首相
「今国会成立」を明言
不誠実な答弁続ける
日本を「海外で殺し、殺される」国に変える「戦争法案」が26日の衆院本会議で審議入りし、与党の自民・公明両党、野党の民主党、維新の党、日本共産党が質問に立ちました。
首相は本会議で、「誠実な説明を尽くす」と述べましたが、実際は法案の本質を意図的に覆い隠そうとする、不誠実な答弁のオンパレードでした。
敵基地攻撃
安倍晋三首相は答弁で「今国会の確実な成立を期す」と明言。国民世論に挑戦する姿勢を鮮明にしました。
しかし、直近の世論調査では「反対」53%、「賛成」34%。今国会成立にも「反対」54%(「毎日」25日付)など、国民の反対世論は強いものがあります。首相は、この世論を恐れ、姑息(こそく)な答弁に終始したのです。
中谷元・防衛相は26日午前の記者会見で、集団的自衛権行使の事例として、他国領域である敵基地の攻撃について「他国の領域における武力行動であって、(武力行使の)新3要件に該当するものがあるとすれば、憲法の論理としては、そのような行動を取ることは許されないわけではない」と述べ、可能性を認めました。
さらに、「この点は国会でもしっかり答えていきたい」と表明しました。
ところが、「敵基地攻撃」の可否を問われた首相は、「いわゆる海外派兵は一般に、自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されない」と述べ、「一般」論で逃げてしまいました。
地球の裏側
従来の周辺事態法を改定し、地球規模で米軍などの後方支援を行う「重要影響事態」法案についても、ごまかしが見られました。
中谷氏は、周辺事態法では中東やインド洋での自衛隊の活動は想定外だったものの、重要影響事態法案で、「地球の裏側」まで行く可能性について、「そうなる」と認めていました。(24日のNHK番組)
しかし、首相は「(周辺事態法の周辺は)地理的概念ではなく、事態の性質に着目したものであり、(法改定でも)その点は変わらない」と答弁。ここでも、中谷氏との食い違いが見られました。
「戦闘地域」
「戦争法案」では、従来の派兵法にある「戦闘地域にいかない」との制限を撤廃し、「戦闘地域」への派兵を認めています。
この点を問われた首相は、「いま現在、戦闘行為が行われていないだけでなく、自衛隊が活動を行う期間において戦闘行為がないと見込まれる場所を実施区域に指定する」と述べ、従来の「非戦闘地域」と同じような安全確保策を設けるかのような答弁を行いました。
しかし、「戦争法案」では、実施区域の設定について、自衛隊が「円滑かつ安全に実施する」場所ということにとどめており、条文上の根拠を見いだすことはできません。