2015年5月26日(火)
「君が代」処分で教職員再雇用拒否
地裁判決 東京都に賠償命令
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東京都立高校の元教職員が、「君が代」斉唱時の不起立の処分歴を理由に再雇用を拒否されたことは違憲であり、東京都と都教育委員会の「裁量権の逸脱・濫用」であるとして損害賠償を求めていた訴訟の判決が25日、東京地裁(吉田徹裁判長)であり、都に原告1人当たり約211万円〜約260万円の賠償を命じました。
判決では、再雇用合否での都教委の判断について、「君が代」斉唱時の起立命令に違反した事実のみを「不当に重く扱う」一方、原告らの知識や技能、経験、意欲等を「全く考慮しない」と指摘。都教委の判断は客観的合理性・社会的相当性を欠くものであり、「裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たる」と認め、都に原告への賠償を命じました。一方で卒業式・入学式で「君が代」斉唱時に起立・斉唱を強制する都教委の「10・23通達」などの違憲性については判断しませんでした。
判決後の記者会見で原告の永井栄俊さん(68)は、「採用拒否は見せしめだ。都教委の言うことを聞かなければ退職後も採用されないと大きな萎縮効果を持つ。今回の判決が学校現場へ与える影響は大きい」と話しました。
同じく原告の水野彰さん(66)は、「本当にうれしい。明日(26日)から国会で審議入りする『戦争法案』と『日の丸・君が代』は一体の物。この判決をきっかけに『戦争法案』を阻止する力になればよい」と語りました。
原告らは28日に都教委に対して控訴しないよう求める申し入れをするとしています。
同訴訟は2007〜09年度に採用拒否された元教員25人が09年9月に提訴しました。これまでに2人が亡くなるなど現在、原告は22人。