2015年5月26日(火)
マルクスを指針に社会変革をめざそう
科学的社会主義セミナー 不破哲三社研所長の講義
24日、日本民主青年同盟が東京都内で開いた科学的社会主義セミナー「マルクスと友達になろう―社会を変革する学び」。日本共産党の不破哲三社会科学研究所所長が講義したポイントを紹介します。
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不破さんは、冒頭、「今年は戦争終結70周年、戦争が終わって日本社会がいちばん大きく変化した点の一つが、マルクスを自由に読めるようになり、日本共産党が公然と活動する自由をえたことでした」とのべ、そのマルクスについて語り始めました。
1991年、ソ連が崩壊した時、日本と世界の資本主義派は“資本主義万歳”と大いに気勢をあげましたが、99年9月、21世紀の到来を前にしてイギリスの公共放送BBCがおこなった世論調査の結果は、世界を驚かせました。「過去千年間で、もっとも偉大な思想家は誰だと思うか」の質問に対して、大きな支持で1位を占めたのは、なんとマルクスだったのです。
時代を超える力
マルクスの思想と理論が、時代を超えて、それだけの力をもったのはなぜか。不破さんは、マルクスの理論の多くの部分が、時代の試練を経て、今日では、世界の常識になりつつあることを、世界の見方(世界観)、社会と歴史の見方(史的唯物論)などの内容を示して説明し、『資本論』に代表される経済学に話をすすめました。
私たちが生きている資本主義社会、「この社会の、『資本主義』という名付け親は実はマルクスなのです」。こう明かした不破さんは、この社会を動かす原動力が、労働者への搾取をあらゆる方法で拡大しようとする資本の「利潤第一主義」にあること、このことの発見がマルクスの経済学の核心をなしていることを解明しました。
そして、「マルクスの目で、現代の日本と世界の現実問題を見てみよう」とのべ、いま日本社会がぶつかっている大問題――雇用問題、原発問題、環境問題をとりあげます。どの問題でもその根源には、「利潤第一主義」の横暴や無法があるのです。
では、こういう問題は、マルクスがめざした未来社会ではどう解決されるのか。不破さんは、『資本論』などでのマルクスの言葉を引きながら、生産手段が資本の手から社会の手に移され、生産と労働が人間と社会のための活動という本来の姿を取り戻した時には、いま見たどの問題も、立派に解決されることを示しました。
「未来社会の最大の魅力は、実はその先にあるのです」と、不破さんは話を続けます。未来社会では、社会が必要とする労働を全員が分担することで、社会のすべての人間が「自由に処分できる時間」を十分に持ち、その能力を発達させる機会を保障されます。こうして、「人間の全面的な発達」が社会発展の原理になるという人類史の新しい時代が開かれるのです。
不破さんは、「社会変革には、国民の意識が発展する過程が必要です」と語り、『資本論』第1巻を引いてマルクスの革命思想にも多数者革命の路線への歴史的発展があったことを明らかにしました。
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変革のプロセス
日本は国民が自身の力で社会を変革した歴史を持っていないと語る不破さん。「未来社会に前進するためには国民の多数者が一歩一歩、社会の変革を自分の力で経験し、それをなしとげる自分の力を自覚しながら発展させていくプロセスが非常に大事です」と強調しました。とくにいま、安倍晋三政権がすすめる戦争法案と沖縄の米軍新基地建設を阻止するたたかいが当面する大問題です。「国民の力でこれをなしとげれば、さらに前進する主体的な力が発展する」と力をこめました。
最後に不破さんは、日本でも世界でも歴史的な激動の時代を迎えるのが21世紀だと指摘。その世紀に資本主義世界で共産党がもっとも生きいきと活動しているのが日本だとのべ、「1818年に生まれたマルクス。その理論は現代の日本と世界の複雑な事象を研究する指針となるものです。マルクスの生きた精神と理論をつかむことが大事です。さあ、マルクスと友達になろう。志をともにする者は、日本社会の変革をめざし、未来社会をめざして、団結してたたかおう」と呼びかけました。
参加者の感想
利潤第一の社会を変えたい
マルクスの眼で見る社会面白い
科学的社会主義セミナーに参加した青年の感想を紹介します。
滋賀県・大学2年生の男性(20)
後の世代のことも考えず、利潤第一で動くことで、環境破壊や原発問題、ブラックバイトなどの問題が起こっているんですね。解決のためには根本から変えていかなければと感じました。今日をきっかけに、勉強していきたい。
愛知県・女性(26)
未来社会では自由な時間が増え、人間の発達が保障される話が印象に残りました。『志のある青年は団結せよ』という不破さんの呼びかけを大切にしたいと思います。
福島市・大学2年生の男性(19)
マルクスの科学的社会主義という考え方が、現代にも応用できることを知りました。後先を考えず利益をむさぼる社会をのりこえる新しい社会を切り開いていきたい。
長崎市・大学4年生の男性(21)
マルクスの眼で、日本の原発問題や環境問題を見ることができるのがおもしろかった。ソ連が崩壊したのは、社会主義だからではないことがはっきりしたので、本当の社会主義の姿をきちんと知らせていかなくてはと思いました。
高知県の岡田はるかさん(民青県委員長)
マルクスも間違い、悩みながら、理論を発展させたという話が印象的でした。活動の中で悩むこともあるけど、広い視野で理論を身につけていこう。それが不破さんの応援メッセージだと感じました。