2015年5月26日(火)
医療保険改悪案 審議するほど問題噴出
危険浮き彫り 採決許されない
参院厚生労働委員会で審議されている医療保険制度改悪案は、与党が今日26日に委員会採決をねらっています。しかし、わずか12時間余(参考人質疑のぞく)の審議でも、審議をすればするほど問題点が噴出しており、採決など許されない状況です。
保険料上げ続く
国民健康保険の財政運営を市町村から都道府県に移す問題で塩崎恭久厚労相は、都道府県が「標準保険料率」を示し、一般会計からの繰入金をなくしていく考えを示しました。滞納や保険証取り上げが問題になっている高すぎる保険料(税)について「伸びの抑制がはかられる」というだけで、引き上げが続くことを認めました。医療にかかれない事態を招く危険は明瞭です。
さらに、医療費目標を定める「医療費適正化計画」や、入院ベッド削減を進める「地域医療構想」と一体で、医療費抑制が進められる危険性も浮上。塩崎氏も「医療費の伸びの適正化を図る」とねらいを隠していません。
日本共産党の小池晃参院議員は「都道府県を司令塔にして強力な給付費削減を推進するのが目的だ」と批判しました。都道府県化や「医療費適正化」が何をもたらすか徹底審議が必要となっています。
論拠破たんした
法案には、入院食事の負担増など受診抑制を招く国民負担増が盛り込まれています。
入院食事の値上げはこれまで、「療養病床の患者と在宅患者との公平性」を理由に引き上げられてきました。しかし、急性期病床の患者に対する今回の値上げについて、小池氏に「入院食と家庭の食事は違う。どこが公平なのか」と追及されると、1食あたり一律200円も引き上げながら「負担能力に応じた負担をお願いする」としか答えられず、論拠は破たんしています。
紹介状なしの大病院受診に対する定額負担(5千円〜1万円)についても同省は、「外来の機能分化」と説明していましたが、小池氏から紹介状のない患者は数パーセントしかないと指摘され、論拠は崩れています。
患者団体が反対
高額の国内未承認薬など保険の利かない医療を広げる「患者申し出療養制度」をめぐっては、患者団体が「医療が経済的に豊かな者だけが利用できるものであってはならない」(日本難病・疾病団体協議会)と批判。病院側からも安全・有効性審査が大幅短縮されることから「患者をミスリードする危険がある」との指摘が出されており、徹底審議が必要になっています。(深山直人)