2015年5月24日(日)
NPT会議 文書採択せず閉幕
核兵器廃絶の世論は高まる
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【ニューヨーク=島田峰隆】国連本部で開かれていた核不拡散条約(NPT)再検討会議は最終日の22日、全体総会でフェルキ議長が示した最終文書案の採決を行いましたが、米国、英国、カナダが反対しました。最終文書案の採択は全会一致が原則のため、同文書案を採択できずに会議は閉幕しました。
広島・長崎への原爆投下から70年に開かれた再検討会議では、最終文書案が当初、核兵器禁止条約に初めて言及するなど、これまでにない変化がありました。禁止条約への言及は核保有国の抵抗で削られたものの、核兵器廃絶を求める国際世論の高まりとともに、それに核保有国が追い詰められていることを改めて示しました。
最終日、不採択となったことを受けての討論でも、「市民社会を含めて核兵器の非人道性の議論へ強い支持があり、再検討会議の議論の基調を大きく変えた。これが新しい現実だ」(アイルランド)といった指摘のほか、「今回の会議で行われた努力がここで終わるものではない」(東南アジア諸国連合〈ASEAN〉を代表したミャンマー)、「国際法を守ろうとする動きを止められる勢力はいない」(コスタリカ)など多くの国が核兵器廃絶へ新たな決意を語りました。
最終文書案は、中東の非核地帯化を目指す国際会議を2016年3月1日までに招集するよう国連事務総長に委ねると明記。米英とカナダはこれを理由に反対しました。