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2015年5月22日(金)

刑事訴訟法改定案に対する清水議員の質問

衆院本会議

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 日本共産党の清水忠史議員が19日、衆院本会議で行った刑事訴訟法改定案に対する質問は以下の通りです。


 今回の刑事司法改革の契機は、いわゆる村木事件をはじめ、次々と明らかになった冤罪(えんざい)事件の根絶でした。

 ところが本法案は、取り調べの可視化や証拠開示は極めて限定的なものにとどめる一方、捜査機関による盗聴の自由を拡大し、司法取引制度を盛り込んでいます。

 こうした捜査機関の権限拡大は、刑事司法改革の本来の目的とは正反対のものであり、新たな冤罪を生み出すことにつながり、その危険性は極めて重大です。

 第一に、盗聴法の拡大についてです。

 憲法21条は「通信の秘密は、これを侵してはならない」と定めています。会話やメールを警察が勝手に傍受することは、この規定に反するものです。

 1986年、警察による、わが党の緒方靖夫国際部長(当時)宅盗聴事件で裁判所は、盗聴の性格を次のように断じました。

 盗聴は「その性質上、盗聴されている側においては、盗聴されていることが認識できず…誰との何時(いつ)、いかなる内容の通話が盗聴されたかを知ることもできない被害者にとって、その精神的苦痛は甚大である」。

 盗聴が通信の秘密をはじめ基本的人権と私生活の平穏を侵すという認識がありますか。

 現行盗聴法は99年に強行成立しました。対象犯罪を広範に定めた政府原案は国民の厳しい批判にさらされ、最終的に、集団密航、薬物、銃器、組織的殺人の4類型に限定修正されました。

 本法案は、窃盗や強盗、詐欺、恐喝など一般の刑法犯にまで広範囲に拡大することとしています。これは、盗聴を日常的な捜査手法とし、大規模な盗聴に道を開くものです。

 現行法にある、警察の通信傍受の際のNTTなど通信事業者の常時立ち会いも、政府原案への国民的批判のもと、与党の修正によってうまれた規定です。

 しかし、本法案はこの規定をなくし、立会人に代えて電磁的な暗号で適正を確保するとしています。結局、システムの開発も運用も警察に委ねられるのではありませんか。

 この間、衆参の法務委員会で、警察庁は、電子メールやフェイスブック、ツイッター、LINEなども通信傍受が可能だと答弁しました。本法案によって、対象犯罪を拡大し、常時立ち会いをなくしてしまえば、スマホやパソコンを利用した国民のコミュニケーションは、「文字通り」丸裸にされます。

 第二に、司法取引制度についてです。

 この制度は、他人の刑事事件につながる供述と引き換えに、不起訴にするといった取引を犯罪捜査に導入するものです。これは、自らの罪を軽くしたいとの心理から、無実の他人を引っ張り込む危険が極めて大きいのではありませんか。そのことが、新たな冤罪を引き起こすことになるのではありませんか。

 第三に、取り調べの可視化についてです。

 本法案が可視化の対象とする事件は、裁判員裁判対象事件と検察独自捜査事件にかぎられ、全刑事事件のわずか3%にすぎません。加えて、被疑者が十分な供述をすることができないと認めるときは録音・録画しなくてもよいなどという例外規定を設け、その判断は捜査機関に委ねられています。これでは、可視化の「いいとこ撮り」が可能となり、逆に冤罪を生み出すことになるのではありませんか。

 取り調べ可視化は、憲法38条の黙秘権を制度的に保障するものであると考えるべきです。すべての事件を可視化の対象とし、全過程で行うことが当然ではありませんか。

 本法案は、単なる一部可視化法案というようなものでなく、捜査機関の年来の要求である使い勝手の良い盗聴や司法取引の導入をはかるものです。特定秘密保護法による独立共謀罪や執拗(しつよう)にねらわれている共謀罪の創設とあいまって、わが国を監視、密告の社会につくりかえることになります。断じて認めることはできません。


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