2015年5月22日(金)
安全・負担増を懸念
参院委 「患者申し出」に参考人
小池氏が質問
参院厚生労働委員会は21日、医療保険改悪案に盛り込まれた「患者申し出療養制度」について参考人質疑を行いました。同制度は、患者の申し出を起点に保険の効かない国内未承認薬や医療技術の利用を認めるものです。
日本難病・疾病団体協議会の伊藤たてお代表理事は「医療が一部の国民、経済的に豊かな者だけが利用できるものであってはならない」と述べ、「混合診療の実質的な一部解禁になる」と指摘しました。
同氏は、入院食費の負担増について「大変な負担になる。公平性といって説明するのは非常に不愉快だ」と批判。紹介状なしの大病院受診の定額負担についても「受診を制限するような高額な紹介状料を設けるのは患者、家族の生命と健康にかかわる」と訴えました。
日本医師会の中川俊男副会長は「(未承認薬の使用を)製薬企業が患者や主治医に働きかけることがあってはならない」と述べました。
名古屋大学医学部付属病院の石黒直樹院長は、医者には技能の向上・習熟が求められ、患者をミスリードする危険性などをあげ、治療の妥当性の判断や治療過程の管理・監督など「特定な機能をもつ病院群だけでの対応が一番よいのではないか」と指摘しました。
質問に立った日本共産党の小池晃議員は、保険適用の実施計画から外れたものでも実施できるなど、同療養制度によって安全性や有効性が不確かな医療が広がる危険性を指摘。石黒氏は「審査・管理体制がないと、データの信頼性が疑われる」と答え、安全・有効性審査の大幅短縮についても「症例集めを誘発させるプレッシャーになる可能性がある」と話しました。