2015年5月17日(日)
きょうの潮流
落語や漫才のネタには会話がかみ合わなかったり、話がすり替わるものが多い。すれちがいの面白さや予想外の展開が笑いを誘うからでしょう▼笑い話で済むなら結構ですが、一般の社会ではそうはいきません。勘違いや食い違いは誤解、混乱を招き、話のすり替えはごまかしやだましがつきまといます。そんな手法を政治家が用いたら…。国民を欺き、みずからの野望を実らせるために▼大阪市を五つの特別区に解体する橋下徹・大阪市長の「都」構想。特別区になれば自分たちで物事を判断して決められるといいながら、一方で権限や財源を集めた強力な「大阪政府」をつくると主張する。彼の余分な説明を除いていけば詭弁(きべん)だけが残ります▼安倍首相の「戦争法案」会見。戦闘地域の軍事支援は自衛隊員を危険にさらすのではという質問に「今までも1800人の隊員が殉職している」と。過去、戦闘に巻き込まれて亡くなった隊員は1人もいないのに、事故や病気で死亡した数字を平然と持ち出しました▼戦場に行けば殺し殺される―。当たり前の批判や不安をかわすために論点をすり替える。自衛隊が米国の戦争に参戦する法案なのに「巻き込まれることは絶対にあり得ない」と言い切り、「平和安全法制」と名付ける始末です▼国民の命や生活にかかわる問題を都合よくごまかす。そこには、国民や市民の声を謙虚に受けとめ、誠実に向き合う姿勢はありません。言葉に真実や信頼が宿る政治を実現させていくためにも2人の退場を早く。