2015年5月15日(金)
自衛隊出動の緩和も決定
「電話で了解」 閣議形骸化に
安倍内閣は14日の臨時閣議で、戦争法案とは別に、武力攻撃に至らない侵害(グレーゾーン事態)に対し海上警備行動や治安出動などを発令して自衛隊を迅速に出動させるため、電話などで閣僚の了解を得る手続きを閣議決定しました。
電話等の閣議を認める対象は、(1)日本の領海内で外国軍艦が国際法上の「無害通航」を行わない場合(2)離島やその周辺海域で武装集団が不法上陸するか、もしくはそのおそれが高い場合(3)公海上で日本の民間船舶が海賊行為などの侵害行為にあう場合――の3事案。
(1)と(2)は、中国の海洋動向をけん制するもので、「無害通航」にあたらない航行としては軍艦が領海内に居座る場合などを想定しているとみられます。しかし、(1)〜(3)のいずれも、第一義的にも国際法上も海上保安庁、警察が対処できる事案で、自衛隊が出動すれば武力衝突や事態の悪化を招く危険があります。
(3)の対処については、日本の領土保全とは無関係です。海上自衛隊の活動範囲の広がりに対応して、世界中で平時のシーレーン(海上交通路)防衛に自衛隊を活用するもので、重大な政策変更になる可能性があります。
国家安全保障会議(日本版NSC)の創設以来、首相を中心として外務・軍事担当相の閣内の権限が強まる傾向にあり、電話などによる了解事項の拡大は、全閣僚の合議である閣議の一層の形骸化につながります。