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2015年5月14日(木)

主張

「正社員ゼロ」法案

根幹崩して「歯止め」ありえぬ

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 派遣労働者を受け入れる業種の制限も、原則1年の期間制限もなくし、労働者をいつまでも「派遣」で働かせることができる労働者派遣法改悪案の審議が衆院で始まりました。法案の提出は3回目で、財界・大企業の意を受けた安倍晋三政権の執念そのものです。

 労働者派遣法の改悪は、劣悪な労働を押し付けられている派遣労働者をさらに増やし、まさに「正社員ゼロ」の事態さえ引き起こすものです。これから審議が始まる「残業代ゼロ」を押し付ける労働基準法改悪案とともに、徹底審議のうえ、国民の力で廃案に追い込むことが重要です。

業種指定も期間制限も

 現行の労働者派遣法は、専門的な26業種について期間を制限しない派遣労働者の受け入れを認め、それ以外の業種については原則1年、最長3年の期間制限を定めています。もともと派遣労働は戦前の反省から禁止されていましたが、常用労働者の代替にしない、「専門的」な業種に限るなどの条件で拡大され、1990年代には原則解禁されて、派遣の拡大に道を開いてきました。不当な派遣切りなどがあとを絶たないため、労働者の強い要求で一定期間後は派遣先の直接雇用を義務付けるなどの措置が求められてきました。

 安倍政権が3回目の国会提出で成立させようとしている今回の改悪は、業種の指定も期間の制限も事実上なくし、派遣先の企業が労働組合の意見を聞くだけで、派遣労働者を入れ替えたり部署を移したりしながら、いつまでも使い続けることができるようになります。派遣労働への規制を文字通り根幹から破壊する大改悪です。

 1回目と2回目の改悪案が労働者の強い反対を背景に廃案になったため、3回目の法案では派遣は「臨時的かつ一時的なもの」であるとの原則を「考慮する」などの条文が追加されました。しかし、派遣労働に対する規制を根幹から破壊する改悪をしておいて、「考慮する」の一言ではなんの歯止めにもなりません。企業が大量の常用労働者を派遣労働者に置き換えるのは目に見えます。「常用代替」にならない原則を守ろうとするなら改悪そのものをやめるべきです。

 法案の審議入りを前に重大問題が明らかになりました。法律を所管する厚生労働省が、現行制度のままで労働契約申し込み「みなし制度」が施行する10月1日を迎えることを「経済界等」が懸念していると、なんとしても改悪案を成立させるよう与党の自民、公明と維新に働きかけていたのです。「みなし制度」とは、派遣先が派遣可能期間を超えて違法派遣を受け入れていた場合、労働契約を申し込んでいたとみなす制度です。その制度が適用される前に改悪を急ぐというのは、政府自身が違法に手を貸すというのと同じです。

政府は法案撤回すべきだ

 厚労省の文書は日本共産党の小池晃参院議員の追及や労働者の反発で一部手直しされましたが、労働者を派遣のまま使い続けたい大企業の本音とそれに手を貸す政府の姿勢は重大です。派遣法改悪の強行はこの点でも許されません。

 派遣労働者の急増は労働者の労働条件を引き下げるだけでなく、貧困と格差を拡大し経済をもゆがめるものです。派遣法改悪案は審議を急ぐのではなく、政府自身が撤回、廃案にすべきです。


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