2015年5月13日(水)
主張
CV22の横田配備
住民の安全脅かす計画やめよ
日米両政府が、特殊作戦用の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイを、2017年から米空軍横田基地(東京都福生市など)に配備する計画を発表しました。米海兵隊所属のMV22オスプレイはすでに沖縄に配備されていますが、米空軍所属のCV22の配備は日本初です。横田基地は、特殊作戦機部隊の新たな拠点として強化されることになります。CV22の事故率は、MV22の7倍近くに達するという数字もあり、人口過密な首都・東京に配備する危険は明白です。配備計画は直ちに撤回すべきです。
より過酷な条件下で訓練
米国防総省の発表によると、CV22は17年下半期に3機が、さらに21年までに7機が横田基地に配備され、計10機の部隊として常駐することになります。新たな基地機能が加えられ、基地負担の増大は避けられません。
CV22は、MV22と同様、両翼にある回転翼の向きを変えることにより、ヘリコプターのような垂直離着陸やホバリング(空中停止)、固定翼機のような長距離・高速の飛行が可能です。敵地深くで、ひそかに破壊工作や対テロ作戦などを展開する米軍の特殊作戦部隊を遠方から潜入・脱出させたり、補給を行ったりすることを任務にしています。
菅義偉官房長官や中谷元・防衛相は12日の記者会見で横田基地への配備について「日米同盟の抑止力、対処力を向上させてアジア太平洋地域の安定にも資する」とか、「大規模災害にも対応できる」などと述べていますが、海外の紛争地などへの介入・干渉作戦用の軍用機にほかなりません。「アジア太平洋地域の安定に資する」どころか、それに逆行しかねません。
CV22が横田基地に配備されれば、特殊作戦を遂行するため、地形すれすれに沿った飛行や悪天候下や夜間の飛行など、非常に危険な訓練が行われるようになることも重大です。実際、中谷防衛相は記者会見で「米特殊作戦部隊の迅速な長距離輸送という任務を達成する」ためとして、低空飛行訓練や夜間飛行訓練、輸送対象となる特殊作戦部隊との共同訓練を実施することを明らかにしています。
防衛省の資料(12年9月)によると、墜落事故などCV22の10万飛行時間当たりの重大航空事故(クラスA)の件数は13・47に上ります。MV22の1・93に比べてはるかに高率で、その原因は「より過酷な条件下での訓練活動」のためとしています。
横田基地ではすでに、同基地所属の輸送機C130から特殊作戦部隊がパラシュートで降下する訓練が頻繁に行われています。関東一円では、C130による低空飛行や夜間飛行も急増しています。CV22が横田基地に配備されれば、いっそう危険な訓練がこれに加わり、拡大することになります。
沖縄の「負担減」にならず
中谷防衛相が、横田基地に配備されるCV22は、沖縄に駐留する米陸軍や空軍の特殊作戦部隊の輸送を主な任務にすると述べたことも看過できません。CV22の配備先は沖縄の反発を考慮して米空軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)から横田基地になったとされていますが、沖縄に飛来し訓練をする危険はなくなりません。
本土でも、沖縄でも住民の命と安全を脅かすCV22の配備計画は絶対に認められません。