2015年5月12日(火)
対独戦犠牲者を追悼
戦後70年 メルケル首相が訪ロ
【ベルリン=片岡正明】ドイツのメルケル首相は10日、旧ソ連の対ドイツ戦勝70年の記念行事に合わせてモスクワを訪れ、ロシアのプーチン大統領とともに、ナチス・ドイツとの戦争で犠牲になった数百万人の旧ソ連兵士を追悼し、献花しました。
メルケル首相は、ロシアのウクライナへの軍事介入に抗議し、9日にモスクワで行われた対ドイツ戦勝70年パレードは欠席しましたが、ナチスの加害責任には向き合う姿勢を示しました。
会談後の共同会見で、プーチン大統領は、「われわれはドイツとではなく、ナチスとたたかった。ドイツはナチスの最初の犠牲者だ」と表明。メルケル首相は、「ドイツの歴史的責任のためにここに来た。独ソ戦での数百万人の犠牲者を否定するわけにはいかない。たとえ今、(ウクライナ問題で)意見が大きく違ったとしても歴史を尊重し、ドイツが世界にいかに苦しみを与えたかを自覚しなければならない」と強調しました。
両首脳は会談で、ウクライナ東部で散発的な戦闘が続き、和平に向けた大きな前進がない現状についても意見を交換しました。
メルケル首相は、2月の停戦合意が守られていないことや、ロシアによる国際法違反のクリミア半島併合を批判。「困難な状況は外交的に解決しなければならない。それが独ソ戦の苦い教訓だ」と語りました。