2015年5月12日(火)
主張
与党安保協議合意
国民共同で「戦争立法」阻止を
自民、公明両党が、「戦争立法」(安全保障法制整備)に関する与党協議会で、関連法案の全条文について正式に合意しました。これを受け、安倍晋三内閣は14日に法案を閣議決定し、翌15日に国会に提出しようとしています。憲法9条を乱暴に破壊し、戦後日本の国の在り方を根底から覆す「海外で戦争する国」への重大な企てであり、断じて許されません。
憲法破壊の三つの問題
「戦争立法」には、憲法9条破壊の三つの大問題があります。
第一は、米国が世界のどこであれ、アフガニスタン報復戦争やイラク侵略戦争のような戦争に乗り出した際、自衛隊はこれまで活動が禁じられていた「戦闘地域」でも米軍をはじめ他国軍への軍事支援が可能になることです。新たな「国際平和支援法案」や、「周辺事態法」を改定した「重要影響事態法案」で具体化されています。
「国際社会の平和と安全を脅かす事態」や「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」を口実に、自衛隊は、戦争をしている米軍などに対し、弾薬や燃料の補給、武器や兵員の輸送など、武力行使と不可分一体の支援活動を行います。自衛隊が支援活動を実施している場所で戦闘が発生することも想定し、相手側から攻撃されれば武器の使用も認められています。自衛隊が「戦地」に派兵され、「殺し、殺される」戦闘を行う道を開くことになります。
第二に、国連平和維持活動(PKO)法の改定(国際平和協力法案)で、アフガニスタンでの国際治安支援部隊(ISAF)のような、PKOとは関係のない活動にも自衛隊が派兵され、戦闘を行う危険があることです。
自衛隊は、特定地域の「安全確保」のためなどとして、監視、駐留、巡回、検問、警護といった治安維持活動が可能になります。自衛隊の活動を妨害する行為を排除するため、武器の使用も認められます。襲撃された他国軍の部隊などを防護する「駆け付け警護」のために武器を使用することもできるようになります。
紛争当事者間の「停戦合意」などの条件が付いていますが、依然として武装集団が活動し、戦乱状態にあるケースで自衛隊が派兵されることも想定されます。ISAFでは、約3500人もの死者が出ていることを銘記すべきです。
第三は、日本が武力攻撃されていないのに、集団的自衛権を発動し、米国とともに海外で戦争に乗り出すことです。「事態対処法」などの改定案に規定されています。
米国など「日本と密接な関係にある他国」に対する武力攻撃が発生し、政府が「日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」だと判断すれば、自衛隊は海外で武力行使ができるようになります。安倍首相は、米国が先制攻撃の戦争を行い、反撃された場合の発動も否定していません。米国の無法な戦争に日本が参戦し、「集団的侵略」を行う危険は明らかです。
主権放棄の暴走許さず
首相は先の米国訪問で「戦争立法」の夏までの成立を公約するという主権放棄の許し難い姿勢を示しています。戦後70年の日本の歩みを踏みにじる「戦争立法」反対の一点で国民的共同を広げに広げ、安倍政権のたくらみを絶対に阻止しようではありませんか。