2015年5月12日(火)
「原発コスト安く見せる」 「原発20%超」が前提
発電コスト試算 有識者会議了承
経済産業省の有識者会議が11日開かれ、2030年時点の原発や再生可能エネルギーによる発電コストの試算を見直した報告書を大筋で了承し、焦点となっている原発の発電コストは4月末の案に比べ1キロワット時当たり0・2円高い「10・3円以上」としました。これは同省が4月30日に示した、2030年時点の電源構成で原発比率を20〜22%にするという方針をもとに試算した結果。老朽原発の運転延長や新増設、リプレース(建て替え)を予定することで、「原発コストを無理やり安く見せようとするもの」との、国民からの批判は必至です。
国民からの批判は必至
発電コストは1キロワット時の電気をつくる費用。原発については、資本費や運転維持費、新規制基準への対応費用、放射性廃棄物の処分など核燃料サイクル費用のほか、損害賠償や除染を含む事故リスク対応費用などの社会的費用を盛り込んでいます。11年の試算では「8・9円以上」でした。その後、賠償など損害費用が増加したものの、新規制基準への対応策によって事故の発生確率が前回の半分になるなどとして、1・4円の上昇にとどまっています。
報告書によると、このうち、電源立地交付金や高速増殖炉「もんじゅ」の研究開発費などを含む30年時点の「政策経費」について、約3446億円(14年度予算)を年間総発電電力量の2242・5億キロワット時で割り、そのコストを1キロワット時当たり1・5円と見込みます。
問題なのは、この年間総発電電力量は2030年時点で電源構成の原発比率20〜22%が前提になっていることです。総発電電力量が減れば、「政策経費」のコストは上昇します。
すでに廃炉の判断をされた5基を除く43基すべてを仮に再稼働させ、原則40年で動かしても原発依存度は15%程度。それ以上見込むのは、危険な老朽原発をさらに20年延長させ、新・増設やリプレース(建て替え)を予定したものです。
しかし、世論の多数が再稼働に反対するもとで、1年半以上1基の原発も動いておらず、この「20〜22%」という数字自体に市民団体から「非現実的だ」と批判の声が上がっているほどです。
他の電源では、石炭火力は1キロワット時当たり12・9円、液化天然ガス(LNG)が13・4円、陸上の風力が13・6〜21・5円、太陽光(非住宅)は12・7〜15・6円を見込んでいます。
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