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2015年5月9日(土)

ネパール地震から2週間

風雨しのぐ「屋根と壁」を

与党関係者 「再建に10〜20年」

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 【カトマンズ=安川崇】ネパール中部を震源とする大地震が発生してから9日で2週間。確認された犠牲者数は7800人を超え、1万5900人が負傷しています。被害の全体像はいまだにつかめておらず、遠隔地の農村地帯への救援も十分ではありません。与党関係者は「再建に10〜20年かかっても不思議ではない」と話します。


写真

(写真)村の被災者が暮らす即席の小屋=2日、ネパール北西部シンドゥパルチョク県ピパルダラ村(安川崇撮影)

世界遺産が損壊

 政府によるとこの地震で住宅40万〜50万棟が倒壊しました。内務省は7日、これまで26万6000張り・枚のテントやビニールシートを配布したと発表しましたが、政府はさらにほぼ同数のテントが必要とみています。

 首都中心部の公園では7日も数百人の被災者がテントで暮らしています。農村部ではがれきの中から掘り出した資材で建てた即席の屋根が多く、風雨をしのげる「屋根と壁」を届けることが引き続き第一の課題です。

 カトマンズ周辺では世界遺産も含めた歴史ある寺院などが7カ所のうち6カ所で損壊。外貨獲得の柱でもあり、観光業への悪影響が懸念されています。

 ネパールは毛沢東主義派と政府の内戦が2006年に終結した後、王制廃止と連邦民主主義国家の樹立を宣言。新憲法の制定に向けた各党間の議論が長く続いています。

 「政治的、社会的な移行期が長期にわたる中で、地震などの災害に対する備えが不十分だった。救援の遅れに対して人々が不満を持つのは自然なことだ」。第2党で連立与党の統一共産党(UML)のプラディプ・ギャワリ書記は語ります。

衛生状態の悪化

 保健衛生分野の再建も引き続き大きな課題です。

 首都カトマンズの国内最大の産院では建物が罹災(りさい)したため、ベッド415床のうち300床が利用できません。7日午後も、階段の踊り場や廊下にマットレスを敷き、新生児の世話をする母親らの姿が見られました。

 地震後も1日60件前後の出産がありますが、「使えるベッドも床のスペースも飽和状態。分娩(ぶんべん)後6時間で母子を退院させざるを得ない」と、院長のジャゲシュワル・ガウタム教授は語ります。

 屋外テントでの共同生活で、衛生状態の悪化が懸念されます。政府は国連などの支援を受け、子どもを対象とした麻しん(はしか)の予防接種を急ピッチで進めています。

 国連によると、ネパールの子どもの10人に1人が麻しんの免疫を持っていません。国連児童基金(ユニセフ)のネパール代表は声明で、「麻しんは感染力が強く、命に関わる場合もある。麻しんが再びネパールの子どもの主要な死因として浮上する恐れがある」と警告しています。


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