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2015年5月9日(土)

神奈川・箱根町担当課「区域は町の0.3%」

観光への風評被害を懸念。大涌谷立ち入り規制

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(写真)通行止めにされた火口域につづく県道734号線の三差路=8日、神奈川県箱根町

 火山性地震が続いている神奈川県箱根町では6日に箱根山の噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられました。宿泊施設や土産物店、飲食店などを営む地元の観光業にもじわじわと影響が広がっています。これから風評被害によって客足がさらに遠のくことになるのではと不安を募らせています。

 8日。ゴォーという低音を発し、ところどころから白い蒸気と硫黄臭を勢いよく噴出する大涌谷(おおわくだに)。同地では4月26日以降、火山活動にともなう群発地震が繰り返し起きており、現在、谷周辺の半径300メートル以内への立ち入りが規制され、大涌谷を通るロープウエーや、そこへつながる道路及びハイキングコースが通行止めにされています。

 「可能な限りの食材は冷凍庫に放り込んできたが、そのほかのものは腐っているだろう。(警戒レベルが引き上がった)6日以降、20人いた従業員みんな休んでもらっている」

 規制区域のなかにある、明治時代から続く飲食店「極楽茶屋」を営む鈴木仲雄さん(74)はこううなだれ、「収入は途絶えたが、自然が相手だから仕方がない。これからのことは誰にもわからない」と話します。

 箱根には毎年5月、日本全国と海外から約170万人が観光に訪れます。箱根温泉旅館協同組合の内田常夫事務局次長は、今年のゴールデンウイークの観光客数は例年並みだったとしながらも、「噴火への警戒感からか今のところ、数団体から予約していた宿泊をキャンセルされたと聞いている。3カ月後の夏休みも控え、火山活動の長期化や風評被害による打撃を懸念している」と話しました。

 美しく芽吹いた新緑に囲まれた芦ノ湖北部の湖尻(こじり)湖畔。数十隻の手こぎや白鳥型のボートが縄につながれ湖面に浮かびますが、お客さんの姿はほとんど見当たりません。着岸した大型の遊覧船から降りる人の姿もまばらです。

 ここで芦ノ湖産ワカサギのフライを売り物にした「湖尻茶屋」を営む吉田容子さん(43)に話を聞くと、「きれいな山や湖の恵みで生活している以上、火山を責めるわけにもいかない。お客さんは例年の3割にも満たないが、せっかく来てくれたお客さんをがっかりさせるわけにはいかない」と笑顔を見せます。

 箱根町観光課の矢田康秀副課長は、「入山の問い合わせなどは増えているが規制区域は町全体のわずか0・3%に過ぎない。箱根山という表現が箱根全体が危険だという誤解につながっているのでは」と残念がり、エリア外では通常通りの観光ができると呼び掛けています。同町の企画観光部は、運休中のロープウエーに代わる新しい観光ルートを検討中だとしています。

 (野村説)


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