2015年5月8日(金)
偏見ない過去の清算を
欧米の日本研究者ら187人 安倍首相に声明送付
“「慰安婦」問題否定 受け入れられない”
【ワシントン=洞口昇幸】日本を研究する欧米などの学者ら187人が、日本軍「慰安婦」などに関する安倍晋三首相の歴史認識問題を取り上げ、「われわれは、可能な限り完全で偏見のない過去の過ちの清算を(後世に)残さなければならない」と呼びかける声明を、安倍首相に送付したことが6日までに分かりました。
声明には、エズラ・ボーゲル・ハーバード大名誉教授、ハーバート・ビックス・ニューヨーク州立大名誉教授、ジョン・ダワー・マサチューセッツ工科大名誉教授らが名を連ねています。
声明は4日に送付され、「日本が近隣諸国との(戦後)70年間の平和」を祝い、戦後日本の民主主義などの歩み「全てが祝福されるものだ」と言及。その上で、「歴史解釈の問題が祝福を受けるに当たっての障害になっている」と指摘しています。
最も深刻なのは「慰安婦」問題だとし、元「慰安婦」の被害者に起こったことを「否定したり、過小なものとして無視したりすることは受け入れられない」と強調。日本軍の関与や大勢の女性が自分の意思に反して残虐行為にさらされたことは、多くの資料や証言ですでに明らかになっているとしています。
声明は、「過去にたどったあらゆる道筋を慎重に考察し、前後関係を評価した結果だけが公正な歴史となる」と指摘。その作業は、政府の改ざん・検閲、個人的な脅迫などから自由でなければならないと指摘。全ての政府に対して歴史研究の自由を守ることも訴えています。