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2015年5月6日(水)

マイナンバー制 来年運用 中小企業に負担・困惑

重い対策費・漏えいに不安

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 全国民に12ケタの番号をつけ、個人情報を一元化する共通番号(マイナンバー)制の来年1月からの運用に向け、政府が突っ走っています。個人情報の“万能キー”となる共通番号は、取り扱いが困難をきわめます。社員や取引先の共通番号を管理することになる中小企業では、不安と困惑が広がっています。 (矢野昌弘)


 「本当に実施するのか、疑問です。役所ですら、毎年のように情報漏えいがあるのに、全企業に自前で完璧なセキュリティーを課すのは、むちゃなのでは」

 ため息まじりに話すのは、都内の医療系の事業所で、共通番号への対応を担当する女性(53)です。

 共通番号法は、扶養控除や源泉徴収票、社会保険の届け出などに共通番号の記載を求めています。

 そのため企業は、社員やパート・アルバイト従業員だけでなく、その扶養家族、報酬や代金の支払い先の業者などの共通番号を集め、管理しなければなりません。

 集めた番号の保管や廃棄について、政府は企業にガイドラインを示しています。内容は、鍵でのファイル管理や不正アクセス対策など多岐に及びます。漏えいには、最大で「4年以下の懲役、または200万円以下の罰金」の罰則です。

 セキュリティーの管理資格を持つ税理士法人、第一経営(さいたま市)の沼田道孝税理士(62)は「共通番号は、最先端かつ最重要な情報。求められる機密の水準をつくろうとすると、企業負担は5人ほどの会社でも数十万円、大きくなると数百万円になるのではないか」と指摘します。

 こうした企業の負担について、「ガイドライン」をつくった政府の特定個人情報保護委員会は「これまでも企業で従業員の個人情報を管理してきたと思う。これにプラスして共通番号が加わるということ。適切に管理し、漏れないようにしていただければよい」と、さらっといいます。

 まだ運用もされていないのに今国会では、共通番号法の改定案が審議されています。現行の社会保障、税、災害対策の3分野の情報に加え、金融機関の口座や特定健診の情報、予防接種の履歴も一元化する中身です。

 埼玉県で設計事務所を経営する菊池大輔さん(68)=埼玉県商工団体連合会会長=は「名前と住所、共通番号がそろうと、とても危険だから、管理の方法をまるっきり変えないといけない。番号が一つ増えるだけではない。漏えいが起きたら、人格破壊につながるような個人情報が外に出て、責任が問われるから、心配にきりがない」と話します。

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