「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2015年5月5日(火)

筋痛性脳脊髄炎 3割ほぼ寝たきり

日常生活が困難なほどに強い疲労と痛み

厚労省調査で実態明らかに

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 日常生活が困難になるほどの強い疲労と頭痛、筋肉痛などがつづく「筋痛性脳脊髄炎」(慢性疲労症候群)の患者の3割が、ほとんど寝たきりの重症患者であることが、厚生労働省の委託を受けた聖マリアンナ医科大学による調査(実施責任者・遊道和雄難病治療研究センター長)で分かりました。(西口友紀恵)


写真

(写真)調査結果の報告に聞き入る患者・家族、支援者ら=国会内

 国際学会の報告では、患者の25%が寝たきりなどの重症とされてきましたが、日本でも同様の実態と分かったのは初めて。重症患者は通院すら困難なため、医療機関も患者の実態を把握できていませんでした。

家族の支援に依存

 同疾患の患者は推定で約30万人。詳しい病態は不明で、有効な治療法もありません。

 調査対象者は、医療機関で診断された男女計251人(平均41・8歳)。調査票を郵送し、それをもとに電話・訪問による聞き取りも行いました。男女比はほぼ2対8で、平均年齢は42歳、発症の平均年齢は31歳でした。

 日常生活の困難度を10段階に分類したところ、最も重い「常に介助が必要で、終日寝たきり」は21人、「日中の半分以上寝たきり」55人で、重症は計30%でした。中等度と重症で65%を占めます。

 約9割の患者が肉体的精神的疲労、疲労回復しない睡眠障害を訴え、体の広範な痛みや集中力低下、体温調節障害などの訴えが各8割近くいました。「家事の後に寝たきりになる」は7割、軽症者でも45%に上ります。中等度、重症患者の多くは、日常生活を家族の支援に依存している状況です。

 発症時に学生だった61人のうち、通学を続けられたのは26人(43%)だけで、全体の7割は仕事に就けていませんでした。

医療福祉充実願い

 同疾患は、難病法の医療費助成の対象外。身体障害者手帳の取得者はわずか14%、障害年金受給者は35%で、多くの患者が福祉サービスを受けられないまま孤立しています。疲労や痛みなどの症状を客観的な数値に表しにくく、「怠けている」との誤解や偏見もあります。専門医がほとんどいないために診断すら受けられない人が数多くいるとされます。

 国に実態調査実施を働きかけてきたNPO「筋痛性脳脊髄炎の会」の篠原三恵子理事長は「深刻な病気であることがはっきりした画期的な内容です。病気への正しい理解が進むこと、日本での客観的な指標を含む診断基準の確立と福祉サービスの充実を心から願っている」と話します。

日常生活や労働などによる評価
 (10段階、概要)

■軽症(0〜5)
0・倦怠(けんたい)感がなく平常の生活ができる。
(1〜4略)
5・通常の社会生活や労働は困難。軽作業は可能だが、週の数日は自宅で休息が必要。

■中等度(6〜7)
6・調子のよい日は軽作業可能。週の50%以上は自宅で休息している。
7・介助は不要だが、通常の社会生活や軽作業は不可能。

■重症(8〜9)
8・しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床。
9・身の回りのことはできず、常に介助がいり、終日就床が必要。


 筋痛性脳脊髄炎 脳と中枢神経系の全身に及ぶ機能障害や調節障害。通常ウイルス感染後に発症するというのが欧米諸国での共通認識で、世界保健機関(WHO)は国際疾病分類で1969年から神経系疾患と分類しています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって