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2015年5月3日(日)

ネパール地震

15歳少年救出の警部補に聞く

「まだ生存の可能性」

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 ネパールでマグニチュード(M)7・8の地震が発生して、2日で1週間となりました。懸命の救助活動が続く中、4月30日には首都カトマンズのビル倒壊現場で、15歳の少年が救出されました。少年の発見・救出にあたったネパール武装警察のラクシュマン・バハドゥル・バスネト警部補(31)が同日、捜索の続く現場で、救出時の様子を本紙に語りました。(カトマンズ=安川崇)


ヘルメット外しがれきの中へ

写真

(写真)ラクシュマン・バハドゥル・バスネト警部補(安川崇撮影)

 ―発見の経緯は。

 現場はホテル3棟が一緒に倒壊したところ。捜索は前日に続いて午前6時に始めた。すでに重機も使っていたが、「生存者がいないかもう一度試そう」と考え、腹ばいになってがれきに口をつけた。手順通り「誰かいるか。いるなら助けを呼べ。声が出せなければ5回ノックしろ」と呼びかけると、「ここにいる」と返事があった。

 ―少年がいた場所は。

 二輪車用の駐車場の通路のような場所。バイク1台の上に梁(はり)のようなものが落ちて、下に空間ができていた。

 ―救出の経緯は。

 バイクがわれわれと少年の間で障害になっていた。バイクの後方をカッターで切ってルートをつくった。大きながれきが少年の上にあり、少しでも揺れると落ちそうだった。作業に苦労した。

 這(は)い込む空間は狭く、ヘルメットを外し、携帯電話もポケットから出して潜り込んだ。ひじを張る幅もなく、両手を前に伸ばして手のひらでがれきをかきながら3メートルほど進んだ。

 ―少年の様子は。

 名前、住所を聞くときちんと答えた。姿勢を変えさせ、ペットボトルの水を少量飲ませた。「何日たったのか」と聞かれた。時間の感覚を失っているようだった。

 少年の背中の下に腕を入れ、体をつかんだ。同僚が私の足を引っ張り、彼を引き出した。後は、現場に到着していた米国の医療チームに引き継いだ。

 ―ヘルメットを外してがれきの下に入った。恐怖はなかったか。

 感じなかった。少年のことしか考えていなかった。

 ―地震発生から5日が過ぎた。生存者救出の望みはどうか。

 レスキュー隊員は常に前向きに考える。例えば崩れた建物のキッチンに空間があって、そこに誰かが閉じ込められているとする。水も飲めるし、食材もあるかもしれない。1週間でも生きられるかもしれない。可能性はまだある。今後もベストを尽くす。


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