2015年5月1日(金)
NPT再検討会議 英仏、核兵器の非人道性に言及
国際的な流れ 無視できず
【ニューヨーク=島田峰隆】国連本部で開かれている核不拡散条約(NPT)再検討会議の一般討論では、核兵器の非人道性に注目して廃絶を求める流れの発展が主要な論点の一つとなっています。ほとんどの国がこの流れに賛同を表明するなかで、英仏両国が核兵器使用の影響に触れるなど核保有国も対応を余儀なくされています。
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オーストリアのクメント国連大使(外務省軍縮軍備管理不拡散局長)は4月29日、非人道性を告発する国が約160カ国に達したことは「警鐘であり、核兵器への依存から抜け出す緊急かつ断固とした行動へ国際社会を結束させるものだ」と指摘。ブラジルのパトリオタ国連大使は28日、「人道的側面からの接近は核廃絶の議論に新たな力を注いだ」と語り、核保有国がこの声に応えるよう求めました。
フランスの代表は28日、「核兵器がもたらす甚大な影響を全面的に認識する」と発言。同国は昨年の国連総会では「解決を追求しないイデオロギー的な接近だ」などとして非人道性を扱う流れに反発していました。
英国の代表は27日、「多くの国がこの動きを重視していることを認識する」「壊滅的な人道的結果が核兵器使用によって起きるという点に英国は同意する」と発言。「核軍縮の遅れへの失望感が非人道性に関する最近の多くの国際会議で鮮明に現れた」とも述べました。
英仏は一方で核抑止力を正当化。米中ロは非人道性の流れに触れませんでした。
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は29日、「非人道性に関する共同声明の賛同国は国連加盟国の約8割だ。無視してはならない」と指摘。会議開幕時には「非人道性を問う運動は、停滞した議論に道徳的な責務を注ぎ込んだ」「核廃絶の緊急性を疑う者には被爆者の経験を聞くよう求めたい」と核保有国に警告していました。