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2015年4月20日(月)

きょうの潮流

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 あどけない子どもの顔をした小さな石の羅漢像、葉っぱを丸くしたような白磁の杯、尾びれをはね上げたコイの水滴▼いずれも朝鮮王朝時代の手工芸品です。東京・駒場の日本民藝(みんげい)館で開催中の「愛される民藝のかたち」展では、民衆の暮らしの歴史が立ちのぼってくるような手仕事の日用品150点が展示されています▼同館を創設した柳宗悦(やなぎむねよし)氏(1889〜1961)は、朝鮮陶磁器との出合いをきっかけに、日本各地の無名の職人が作った実用品の「用の美」に目を開かれ、その発掘と紹介に力を尽くしました。「民芸」という言葉は民衆的工芸の意味で、柳氏が作った新語です▼民衆から生まれ民衆に役立つ丈夫で安価な雑具こそ工芸の大道であると説いた柳氏は、朝鮮陶磁器に見いだした美を通して、朝鮮の人々に深い敬愛の心を寄せていました▼1919年3月1日に朝鮮各地で勃発した三・一独立運動に際し、弾圧する日本政府に対して〈反抗する彼らよりも一層愚かなのは、圧迫する我々である〉と批判する論文「朝鮮人を想(おも)う」を新聞に投稿。日本で朝鮮文化が一顧だにされない中、朝鮮の工芸品を収集し24年、京城(現ソウル)に朝鮮民族美術館を設立しました▼〈芸術の美はいつも国境を越える。そこは常に心と心とが逢(あ)う場所である。そこには人間の幸福な交わりがある(略)芸術において人は争いを知らないのである〉(「朝鮮の友に贈る書」)。柳氏にとって「美」は、民衆の日常にある平和のかたちだったのかもしれません。


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