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2015年4月18日(土)

「戦争立法」 日米安保さえ逸脱

法案原案が出そろう

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 政府が今国会中の成立を狙う集団的自衛権行使容認を柱とする「戦争立法」の法案原案が17日、出そろいました。自民、公明両党の協議会は14日に再開したばかりですが、意見の対立はほとんどなく、議論は早くも収束に向かっています。しかし、政府原案には、憲法はもちろん日米安保条約でさえはるかに逸脱して、日米同盟を世界をにらむ軍事同盟へと変貌させる狙いが示されています。 (池田晋)


世界中が派兵先 米軍以外に拡大

図

 同盟の大転換を象徴するのが、周辺事態法の「重要影響事態法」への抜本改悪です。

 周辺事態法は1997年に改定された日米軍事協力の指針(ガイドライン)と表裏一体の関係をなす国内法として99年に成立。日米共同の有事協力の範囲をアジア太平洋地域にまで拡張する一方、同法の目的規定には「安保条約の運用に寄与」(第1条)との文言が入っていました。

 一方、日米両政府は昨年10月の新ガイドライン中間報告で、「周辺事態」の枠組みを廃止し、軍事協力の範囲を地球規模にまで拡大しました。

 安保条約のそもそもの対象範囲は「日本」もしくは「極東」です。しかし、周辺事態法を抜本改悪する「重要影響事態法」の目的規定では新ガイドラインに連動して、「安保条約の運用に寄与することを“中核とする”外国との連携を強化する」と新たな文言を追加。これにより、「極東」どころか世界中が派兵先になり、後方支援の対象国も米軍以外の他国軍にまで拡大しています。

 日米の2国間同盟の大本をなす安保条約は一切変えないまま、地球規模・多国間の軍事協力にすり替えるもので、目に余る憲法違反・条約違反の改定です。

 ある与党関係者は「新法は『安保条約に寄与』とは書いていないので矛盾はない。これこそ『霞が関文学』だ」と解説します。

新たな概念乱立 伸縮自在に解釈

 ガイドライン改定に合わせ、新設する事態・活動はこれにとどまりません。

 集団的自衛権行使で参戦するための「存立危機事態」に加え、「重要影響事態」と同様に日本が後方支援で参戦すべき事態として「国際平和共同対処事態」を提唱。戦争終了後は「国際連携平和安全活動」などと称して、自衛隊がそのまま駐留・活動できる枠組みもつくります。

 次回21日の与党協議会では、「戦争立法」との“整合性”を確保するとして、ガイドラインについても政府から説明を受けます。しかし実態は、憲法解釈も条約解釈も米国の要求次第で伸縮自在といわんばかりの乱暴な作業であり、まともな法治国家のなせる業ではありません。

与党協議会骨子

 一、集団的自衛権行使の対象となる新たな事態を「存立危機事態」と規定

 一、存立危機事態につながる攻撃を「存立危機武力攻撃」と定義

 一、「重要影響事態法」(改定周辺事態法)の目的を「日米安保条約の効果的な運用に寄与することを中核とする」と明記

 一、国連平和維持活動(PKO)協力法を拡充して策定する「国際平和協力法」の目的規定に「国際連携平和安全活動」を追加

 一、武力攻撃事態法に、武力行使の新3要件の「他に適当な手段がない」との文言を入れる

 一、存立危機事態での警報の発令や住民避難は、武力攻撃事態などと併せて認定し、国民保護法に基づく措置を実施


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