2015年4月18日(土)
米議会に貿易促進権限法案 TPP交渉 緊迫
消費者団体など一斉抗議
【ワシントン=島田峰隆】米国内で環太平洋連携協定(TPP)交渉が緊迫した局面を迎えています。かねてからオバマ大統領がTPP交渉妥結のため求めていた大統領に通商権限を一任する貿易促進権限(TPA)法案が米議会に提出されたことに対し、TPP反対運動を広げる労組など米国の団体は16日、一斉に抗議の声明を出しました。
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米国最大の労組全国組織、労働総同盟産別会議(AFL・CIO)は「労働者が賃上げを求めているときに、議会は企業主導の貿易合意を推進する法案を検討している」と批判。この数十年に自由貿易により雇用喪失や公共サービスの後退が起きたとし、TPA法案の拒否を呼び掛けました。
AFL・CIOは18日を「TPA阻止行動日」とし、全米で行動を予定しています。
米消費者団体パブリック・シチズンは、雇用喪失や環境基準の切り下げなどTPPの危険を改めて指摘し、「大統領にあらゆる貿易合意の白紙委任を与えるもの」と非難しました。
このほか環境団体などが「TPPでは気候変動対策を取る国は企業に訴えられる。われわれは阻止へ立ち上がる」「議会は多国籍企業のために国民を犠牲にしてはならない」といった声明を出しました。
オバマ大統領は16日の声明で、法案提出を歓迎し可決を求めました。ただ反対世論を受けて与党民主党内にTPPへの慎重論があるほか、野党共和党の一部にはオバマ氏への権限付与に反発する意見があり、オバマ氏の思惑通りに進むかは予断を許しません。