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2015年4月16日(木)

きょうの潮流

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 バルト海に面する、ポーランド最大の港湾都市グダニスク。交通の要所として、古くから支配の荒波を受けてきた町です。第1次大戦後はどこの国にも属さない自由都市ダンツィヒとなり、多くの民族が集まりました▼そこで生まれたドイツの作家ギュンター・グラスが故郷を訪ねたとき、1枚のボロ布を贈られます。それは子ども時代に翻っていた共和国の旗。「ある日、ナチの軍隊が進撃してきて彼らの旗を掲げた。それからというもの、何もかもがめちゃめちゃになった」▼ナチスによって蹂躙(じゅうりん)されていく町や戦争に染まっていく市民の様子を間近で見てきた少年。彼の体験は、3歳で成長を止めたオスカルの目を通して、「ブリキの太鼓」に描かれます▼民族のはざまで揺れ、暴力や国家に翻弄(ほんろう)されてきたノーベル賞作家は、言葉の力を信じるとともに、政治や社会にたいして声を上げることを惜しみませんでした▼米国のアフガニスタン戦争を「多くの罪のない人々を犠牲にする第二のベトナム」と批判。イラク戦争にも「超大国の道徳的没落だ」と反対しました。また、利潤だけを追求する資本の力に「銀行や大企業のロビイストが民主主義を上回る力を行使している」と疑問を呈したことも▼2006年に発表した自伝の中で、第2次大戦末期、17歳のときにナチの武装親衛隊に入り、戦地に赴いたと告白したグラス。重くのしかかるドイツの過去、自身の過去から逃げず、最後までみずからの言葉で時代と社会に向き合った生涯でした。


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