2015年4月16日(木)
普天間5年以内運用停止 防衛省 検討せず
安倍首相、新基地と引きかえに前知事に表明 本紙請求の資料で判明
安倍晋三首相が2013年12月の沖縄県の仲井真弘多・前知事との会談で「認識を共有している」と表明した米軍普天間基地(同県宜野湾市)の「5年以内運用停止」について、防衛省が検討対象にしていなかったことが本紙の情報公開請求で、14日までに明らかになりました。
同省が仲井真氏の要請を受けて、14年1月に立ち上げた「沖縄基地負担軽減推進委員会」(委員長・防衛副大臣)の配布資料・議事録から判明しました。
普天間基地の「5年以内運用停止」は、米軍新基地建設に向けた名護市辺野古の埋め立て承認という仲井真前知事の公約裏切りと引きかえに交わされたもの。
ただ、米側は22年度以降とされる新基地完成前の運用停止には一貫して難色を示しています。そのため、当初から「口約束」との批判があがっていました。
「推進委員会」の下に設置された「普天間飛行場負担軽減推進チーム」が第1回委員会に配布した資料(14年1月22日付)によると、同チームの設置趣旨について、「普天間飛行場の負担軽減の推進に関する諸課題、特に、オスプレイの本土での訓練等の促進について集中的に検討」としているのみです。
さらに、同資料は「当面の方向性」として(1)2013年10月の2プラス2共同発表に従った措置(オスプレイの沖縄での訓練時間削減)(2)格納庫など「訓練基盤・拠点」を本土の演習場、飛行場等に複数整備―をあげ、「沖縄の負担軽減」を口実とした本土での訓練環境の整備を打ち出しています。
「推進委員会」は、14年10月までに合計4回開催。一連の議事録でも、もっぱらオスプレイの本土訓練の拡大の方策が議論されているだけです。
菅義偉官房長官は5日の翁長雄志知事との会談で、オスプレイの本土訓練拡大に加え、千葉県木更津駐屯地を整備拠点にすることまであげて「負担軽減」だと強調しました。これに対し、翁長知事は「いずれ訓練も沖縄に戻ってくる」と指摘し、「負担軽減」にならないと反論しています。