2015年4月15日(水)
きょうの潮流
「司法が再稼働を止める」「司法は生きていた」、誇らしく掲げられる垂れ幕。抱き合って喜び合う人たち。きのうの福井地裁前の光景です▼関西電力高浜原発３、４号機の再稼働を差し止める仮処分の決定。「新規制基準は緩やかにすぎ、これに適合しても原発の安全性は確保されない」。高浜は「新基準に適合している」から合格、との原子力規制委員会の判断への痛烈な批判です▼高浜原発は昨年５月、同裁判所から運転差し止めを命じられた大飯原発の至近に。他の技術とは同列に考えられない被害の大きさ。原発の持つ本質的な危険を直視した大飯判決と同様、今回の決定も全国の原発にあてはまります▼決定要旨をみると、規制委の判断がいかに安全を保証したものではないかがわかります。想定される最大の地震の揺れ（基準地震動）をこえる地震が来ないというのは「根拠に乏しい楽観的見通しにしかすぎない」。「新規制基準は合理性を欠いている」▼最たるものは、規制委・田中委員長のこの言葉、「基準の適合性を審査した。安全だとは申し上げない」。これは、基準に適合しても安全性が確保されている訳ではないと認めたもの、と▼福島原発事故後「あの時、裁判所が住民の訴えに耳を傾けていればこんなことにならなかった」という悔恨の言葉を耳にしました｡“裁判所は行政庁の判断を尊重すべきだ”とする最高裁の長年の考えに抗し、再稼働にはっきりものをいう司法の動き。問われるのは「原発は安全か」です。
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