2015年4月14日(火)
高齢者「虐待」徹底調査を
共産党 都・北区議団が要求
マンションで身体拘束 ■ 感染症で死亡者続出か
東京都北区の医療法人岩江クリニック(岩江秀和理事長)が運営する高齢者向けマンションで、要介護高齢者を日常的にベッドにしばりつけるなどの身体拘束が行われ、99人が「虐待」と認定された問題。日本共産党の北区議団と都議団は、同マンションで3年前、感染症などで短期間に多くの命が失われていたことを初めて明らかにし、都と区に対し徹底調査を求めています。
(西口友紀恵)
党区議団は同法人の虐待問題解明へ精力的に取り組むなかで、3棟のマンションでインフルエンザなどの感染症で死亡者が続出したと告発する資料を入手。そこには2011〜12年の冬、わずか4カ月間に亡くなった28人の名前や死亡日などが記載されていました。
3月議会で党区議団は資料の存在を明らかにし、「共産党の独自調査で岩江クリニックのものと確認できた」と告発。資料と同法人との関係を公にし、区と都が連携して過去にさかのぼって調査するよう求めました。
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届け出せず
昨年11月に身体拘束の問題が報じられた当時、同マンションは都に有料老人ホームとしての届け出がされていない「制度外ホーム」でした。同法人が運営する介護事業所が食事や介護サービスなどを提供しており、数年前に、区の介護保険運営協議会で実態の問題点が指摘されていました。
区は3月18日までに、高齢者虐待防止法、障害者虐待防止法にもとづき入居者159人(当時)のうち99人を「虐待」と認定。都も同10日に老人福祉法にもとづく有料老人ホームと認定し、立ち入り調査をしました。
この間、都議会では、曽根はじめ都議が感染症の問題で、「亡くなった方たちの尊厳を守るためにも、当時何が起こっていたのか、さかのぼって経営者に事態を報告させるよう努力を尽くすべきだ」と迫りました。
行政の責任
都は「法にもとづく指導・監督は有料老人ホームと認定したときから可能になる」と回答。同都議は「もし調査が過去の事実に及ばないというなら、認定が遅れたこと自体の行政の責任が問われる。これだけの人が亡くなった事実を闇に葬るのは許されない」と厳しく指摘しました。
身体拘束の問題では、都は昨年11月、実態を検査し、2月に介護保険法にもとづき「改善勧告」を出しました。同法人は勧告への回答期限の3月末に書類を提出。都によると、法人は「身体拘束検討委員会」を立ち上げ、身体拘束ゼロに向けて検討を始めたと報告しました。13日、都と区は現地を確認する調査を実施。都は「不十分な点があればひきつづき指導する」と話します。同法人からは13日現在、有料老人ホームとしての届け出は出されていません。
生活状態の改善はやく
さがらとしこ党区議団長の話 北区が「虐待」と認定し、都が「有料老人ホーム」に該当すると認めてからすでに1カ月がたちました。虐待をやめ、入居者の生活状態の改善を急がなければなりません。感染症問題も、ひきつづき調査を求めます。