2015年4月6日(月)
知事・長官初会談
基地問題「原点」掲げ、新基地の断念を迫る
名護市辺野古の新基地建設問題をめぐり沖縄県と政府との事実上の初会談(5日)となった会場は、昨年9月に菅義偉官房長官と仲井真弘多前知事が会談した那覇市内のホテルの、同じ部屋でした。菅長官が「負担軽減」策に言及するたびに腰を直角に曲げて「ありがとうございます」と頭を下げていた前知事とうって変わり、翁長雄志知事は「政治の堕落」「上から目線だ」と、予想を超える厳しい言葉で新基地建設反対の民意を伝えました。
沖縄県民の民意が圧倒した会談。菅長官は会談中、「ポーカーフェース(無表情)だった」(翁長知事)となり、終了後、記者団に「関係法令に基づいて、(辺野古新基地建設を)進めさせていただくことに変わりはない」と述べ、平行線だったことを印象づけようとしました。
一方、翁長知事は「私の原点を話させてもらったので、今後、話はしやすくなった」と“収穫”を挙げました。
翁長氏は、普天間基地など多くの基地は沖縄戦の中で米軍が住民を収容所に囲い込んでいる間に建設され、さらに「銃剣とブルドーザー」で土地を強制接収されたことで形成された歴史に触れました。
また、サンフランシスコ条約で沖縄が日本から切り離され、過酷な占領支配の中で「沖縄の自治は神話」との発言を残したキャラウェイ高等弁務官と安倍政権を重ねあわせるという手法もとりました。さらに、翁長氏が保守と革新を超え、県民が一つになった事例として繰り返し言及する「プライス勧告」阻止闘争にも触れました。
こうした苦難の歴史こそ、沖縄県民が辺野古新基地建設に反対する思いの原点なのだと伝えようとしたのです。
すべての県民に共通するこうした思いを、どう受け止めるのか。今後、安倍政権が試されることになります。(竹下岳)