2015年4月6日(月)
きょうの潮流
テレビ朝日「報道ステーション」のコメンテーター・古賀茂明氏の発言が議論を呼んでいます。「菅官房長官をはじめ官邸のバッシングを受けてきた」と古賀氏▼これまで番組では武器輸出、原発再稼働に前のめりの安倍政権に辛口の言葉を投げかけてきました。とはいえ、生放送中に一方的に切り出すやり方には、視聴者への配慮も欠き違和感を覚えたとの声も出ています▼忘れてならないのは、安倍政権によるメディアへの介入です。昨年末の総選挙の際、自民党がテレビ各局に「報道は公平中立、公正に」と要請。今回の古賀発言に対しても菅官房長官は「放送法がある。テレビ局の対応を見守る」とテレビ朝日に揺さぶりをかけました▼安倍首相が民放テレビに出演して、アベノミクスを批判した街頭インタビューの声に不満をぶつけたことも。3月の国会でその件をただされた首相は「言論の自由」と言い放ちました▼「政治的公平」は放送局が自らを律するために放送法が掲げています。憲法の「言論の自由」は権力からの抑圧を排除し、国民の権利として約束したもので、首相が振りかざすことではありません。放送法や言論の自由を持ちだして圧力を「正当化」し、逆にメディアや世論を攻撃する。ここに安倍政権の異常さが表れています▼放送は総務省が管轄する免許事業。政権与党が放送局を威圧する背景ともなっています。萎縮し政府の言いなりになるのか、国民の信に応えるのか。テレビ局は自らの存在意義を示す時です。